林業事例調査2022(2)(2022/12/17)
林業事例調査の2日目は、奈良県の徳田銘木さんを訪問しました。
とある日のゼミにて、「ぐねぐね曲がった木や大きなコブがある木ってカッコいいですよね」という話をしていたら、杉本先生が紹介してくださいました。
奈良・吉野は、1日目に視察した京都・北山とともに磨き丸太の生産地です。しかしその育て方や用途は異なっていて、興味深い比較ができました。
まずは倉庫を見学させていただきました。
さまざまな樹種・樹形が揃っていて圧巻でした。
特に教員陣の興味を引いたのが、錆丸太です。
錆とはカビのことで、伐倒した丸太を林内にしばらく置いておくことで自然にカビを発生させるのだそうです。そのため全く同じ模様は生まれません。細かい方法までは聞きませんでしたが、実践を積み重ねることで適切な時期や期間などを構築していったのだろうと想像します。
見学で特に印象に残ったことは、倉庫がとにかく綺麗だということです。たくさんの在庫がありますが、雑多な印象は全くありませんでした。また色使いも素敵だと思いました。
倉庫見学の後は、徳田社長からお話を伺いました。経営全体に関わるお話も聞くことができ、関心の異なる全員にとって有意義な時間であったのではないかと思います。
その中で特に印象に残っているのは、この業界のメリットのお話です。徳田社長がメリットとして挙げられたのは、会社が僻地にあること・従事者が高齢化していること・市場規模が縮小していること…など、マイナス要因と捉えがちなことでした。しかし不利な点が多いからこそ大手企業が参入してくることは考え難く、またデメリットを克服するようなことを行えば一気に他社との差別化ができるといいます。
授業で日本の林業について学ぶとき、メリットよりもデメリットの方が頻繁に出てくる気がしています。確かに斜面が急峻で樹種数も多い日本の森林では画一的・効率的な林業をすることが難しいことは事実なのでしょうし、需要も従事者も減っています。ただ、それを言い訳にしていても何も変わりません。この現状を理解した上で、何ができるかを前向きに考えていくしかないのでしょうし、そこにこそ面白みがあると私は思いました。
また徳田さんは、国内外の2000社以上の方々と繋がりを持っておられるそうです。そこには林業関係の横のつながりはもちろん、異業種の方との繋がりも含まれます。
アカデミーにいると頻繁に、林業の川上から川下までの連携の重要性とその難しさについて耳にします。徳田さんの話を聞きながら、森と木に関わる仕事に本気で取り組んで、他業種と繋がりたいという思いさえあれば、さほど難しいことを考えずともつながりは生まれるのではないかという気がしました。
(おまけ:お気に入りの一枚)
よく森林で見かける、「腰掛けたらちょうどよさそう…」という曲がり+コブの一本。
これがあれば家でも座り放題です。
(クリエーター科林業専攻1年 森日香留)