「その建物その町を理解したリノベーションを」古民家の再生
建築専攻では、美しい町並みの一角にある古民家を実測し、その改修の提案を行う授業「古民家の再生」を行なっています。
全授業は部で5回。
まず1回目は講義で、日本の古い建物についてと、改修の注意点、実測の仕方について学びます。
この時、法律的な観点や、社会課題としての空き家対策の話題もしています。
2、3回目は「郡上おどり」(徹夜踊り)が重要無形民俗文化財に指定されており、古い町並みの残る郡上八幡で実測調査×2棟です。
物件は「郡上八幡産業振興公社空き家対策チームまちや」の皆さんのご協力で実習に使わせていただきました。
昔の建物は図面がないので、まずは図面にするところから始めます。
この時大切なのは、余すところなく「平面図」「展開図」にすることで、「その建物の良いところ」を探すこと。例えば、土間の抜け感がいいとか、玄関の梁が良いとか、二階からの景色が良いとか。「その建物の良いところ」を見つけることができれば、それを活かす設計をすることができます。
この授業で大事にしていることの一つは「まち歩き」です。
提案は改修後の建物の用途も一緒にプレゼンします。町全体がどんな雰囲気で、どんな人がいて、今実測している建物はその中でどの位置にあり、どのような役割を求められるのかを考えます。今回のお題は「店舗兼住宅」と「一棟貸しのための住宅」。郡上八幡は観光地なのでたくさんの人通りがあり、その観光客の属性や、他店舗の様子も含めて観察します。
4回目の授業はいよいよ改修設計。お互いに見せ合いながら、意見を言い合って、各自一案ずつまとめました。
最終日は、チームまちやの皆さんにプレゼンです。
この案がそのまま実現されるわけではありませんが、実測図とともに今後の設計の参考にしていただきました。
チームまちやの皆さんありがとうございました。
様々な案が出ましたが、耐震性能と温熱性能を計算した上で、「その建物の良いところ」と「まちにとって良い改修」を念頭に提案できました。2年間で本質的な木造建築設計のマインドが培われたことが見てとれました。
卒業後も良い建物を「理解」して、良い設計をしてくれることを願っています。