学長の椅子、完成しました!
木工専攻の有志でアカデミー学長の椅子を制作しました。
主材にセン(ハリギリ)を使い、背棒に岐阜県にゆかりのある7樹種(ヒノキ・イチイ・コウヤマキ・トチノキ・ホオノキ・クリ・ブナ)を使ったアカデミー限定仕様です
「アカデミーらしさ」を表すために少し工夫をしました。
キコリが山の神に対して行う斧を使った儀式になぞらえ、背面の3本を斧の御神酒(ミキ)面に、前面の4本で斧の四気(ヨキ)面を表しました。アカデミーの4つの専攻ではそれぞれ山の恵みを享受しながら学んでいるので、恵みに感謝する気持ちを形にしました。
●プロジェクトの発端
現在の学長室の椅子は森林文化アカデミー開学当初から使われているものですが、学長にふさわしい貫禄がなく、またキャスターがついていて転倒事故も起きたりしたことから、新しい椅子が欲しいというリクエストが学校側からありました。
教員が有志を募り2年生の2人が手を上げたため、11月にプロジェクトが立ち上がりました。
●コンセプト・デザイン検討
教員からのお題は「貫禄・威厳」と「アカデミーらしさ」でした。
検討期間は11月半ばから12月半ばの1カ月間。既存の椅子の研究から始まり、毎週デザインワークを行いました。複雑な椅子の構造に苦労し、下の写真の倍以上はラフ画と製図を繰り返しました。
なかなかコンセプトが定まらない焦りの中、上写真の左下のラフ画を描いている時に「ヨキとミキ」のアイディアが出てきました。
●試作での確認
合板で原寸模型を作り、形状や座り心地を確認しました。手間でしたが実物があることが後々製作の時に役立ちました。その後学長に模型に座ってもらうことができ、座り心地を確かめてもらうことができました。
●制作
課題研究も佳境なため、教員と相談し年明けの3連休で一気に制作を行いました。指導してくれている久津輪先生にも作業に入っていただき、フル回転で進めました。細部の仕様を決めきれていなかったのですが、教員から的確なチェックを入れてもらったためなんとか制作を進めることができました。
事前に治具を作りましたが、制作時には随時必要な治具を作り足していきました。
後脚は構造の肝なので、加工に気を使いました。
背棒は形を揃えるために薄板を貼り合わせて曲げました。
学長のお尻をイメージしながら座面を彫り進めました。
仮組の際は、まだできていないのに感慨深かったです。試作と瓜二つ。
構造が複雑なので組み立ては苦労しました
●勉強になりました
デザインから制作まで携わったことで非常に濃密で勉強になった2カ月間でした。このような機会を与えてくださった涌井学長とアカデミー、忙しい中時間を作って指導してくださった久津輪先生に感謝いたします。
クリエーター科2年 池冨士 裕・陳平芸