「木材塗装の応用」漆塗装を体験する
木工専攻では1年時に自然塗料の授業で漆塗りを体験しますが、2年生で行う「木材塗装の応用」では、さらにもう1歩踏み込んで4日間にわたって様々な木地に漆を塗る体験をしました。
漆塗装の実習は岐阜市で漆教室をされている登根円先生に非常勤講師でご指導を頂いています。今回はサンプル用の手板、学生が個別に準備した器やスプーンといった食器、また弁当箱の塗装にも取り組みました。
漆は古くから木材の塗装に使われており、今でももっとも強く、また美しい塗装方法として知られています。同時に、漆は乾燥時の化学反応によって、かぶれを引き起こす場合もあります。この授業ではそんな漆の優れた面や使い勝手の良さと同時に、取り扱う際の注意点も学んでいきました。※漆は固まればかぶれることはありません
漆の塗装作業は塗って、研いで(磨いて)の繰り返しです。ある意味とても単純ですが、さまざまな用途の違いや形の違いによって、作業の仕方であったり、道具であったり、漆の種類であったりが変わっていきます。漆実習では、そんな漆にまつわる様々なことを漆を塗るごとに変わっていく作品の変化を通して学んでいきます。
2年生は夏休み明けに「商品化」の実習で、お弁当箱の製作と販売実習を行います。今回の漆の実習ではその準備も兼ねて小箱の漆塗装にも取り組みました。
今回、実習で塗った器や作品は学生達が普段使いをしながら、その使い勝手や漆の表情の変化を体感してもらいます。漆塗りの作品の優れたところは、水に強いといった機能性だけでなく、美しさを感じる質感、使うことで感じる満足感にあるものだと思います。実習に参加した皆には、これから漆塗りの器を普段使いしながら、漆の良さを伝えられるようになってもらいたいと思います。
木工専攻 講師
前野 健