バイオマスを活用したオフグリッドハウス
長浜市にあるバイオマスを活用したオフグリッドハウス(内保製材)の見学に木造建築専攻2年生と行ってきました。
日本海側に位置する長浜市は冬期の日照時間が少なく(美濃市の半分程度)雪や曇りの日が多いという特徴があります。
そのため、日照で暖を採るだけで不足するため、バイオマス(ペレットと薪)を暖房と給湯に利用して、太陽光発電で照明や家電を動かすオフグリッドハウスで計画されています。稼働からまだ半年で年間通しての実測データはこれからです。
建物は低く抑えられた軒先の水平ラインが美しく、平瓦が和風過ぎない佇まいを演出しています。
上部屋根からは薪ストーブの煙突も見えます。周囲には太陽光発電パネルが3.8kW載っています。
このモデルハウスでは設備的な考え方だけでなく、デザインや納まりも非常に勉強になります。
全体のコンセプトを解説いただいたのは、内保製材の川瀬さん。
太陽から生まれるエネルギー(バイオマスや太陽熱、太陽光)を活用して、湖北地方の循環型社会モデルを作りたいとのこと。
建物の右側に見えるのはソーラーシステムの太陽熱給湯です。
約4㎡の集熱パネルに不凍液を循環させてお湯を取り出します。冬期の太陽高度に合わせて少し急勾配気味。これでも積雪がなかなか落ちないとのこと。
学生にとっては、ちょうど自立循環型住宅への設計ガイドラインの授業で太陽熱給湯をやったばかり。アカデミーの真空管式温水器との違いを現物で確認できました。
さらに建物の北側にはオフグリッドの中核の設備郡があります。
まずはペレットサイロとペレットボイラー。太陽熱の不足分をバイオマスで補助する計画です。
その横には蓄電池。さらに薪置き場と続きます。
室内も上質な感じに仕上がっています。
無地のヒノキフローリングと木製建具の横にバイオマスの温水を回すパネルラジエーターが4カ所。
エアコンと異なり、空気をほとんど動かさず、暖房できる優れものです。
これらの運用状況を把握すらためのシステムも完備。
現在どのような運用状況か、タブレットやPCでも確認できます。
寝室の天井は小幅板は一枚一枚丁寧に張られています。高さもぎりぎりまで抑えられて落ち着きがあります。床はウールの絨毯。
学生は放っておいても勝手にいろいろな寸法を測り始めたり、仕上げなどもいろいろ質問しています。
建築学生らしい感じになってきました。
こういった実験的な住宅は設備に目が活きがちで、肝心の建物が味気ないものも多くありますが、このモデルハウスは、性能とデザインのバランスが良く、学生にとっても良い学びになりました。
内保製材 「響の杜 」Sustainable Laboのホームページは下記からhttps://www.uchiboseizai.com/co_navi/CYB20161024111847-4.html
教授 辻充孝