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2018年09月16日(日)

日射熱取得を極めてバランスの良い性能を!!(パッシブデザイン設計法 復習編3)

日射熱取得を極めることは、気候特性を活かす設計法の究極の姿です。

窓の断熱性能を高めると、熱が逃げることを減らす一方、日射取得が減るというジレンマが発生します。

そのいい塩梅を見極めるのが今回のテーマです。

まず、午前中は復習ということで、日射が当たった場合の表面温度を計算したり、外装の色や質感、風の強さが変化した場合はどう変わるかなど、手計算で求めて、イメージを浸透させます。

窓に関しては、Windeyeという窓をJISの計算に則り一つ一つ計算するツールを用いて計算する方法を学びます。

午後からは、いよいよ実践的な本番です。

私の開発した環境デザインサポートツールVer.7.45を使用して、試算を繰り返します。

市町村を選択すると、自動的に温度域や日射量の多さの区分が表示されます。例えば岐阜市であれば、比較的温暖な地域(6地域)で、太陽光や温水器で有効な年間日射は比較的多く(A4区分)、冬期の日射量も多め(H4区分)、夏期の日射は少な目(C2区分)と、非常に良い立地であることがわかります。ちなみに美濃市は今年最高気温も記録した通り、夏期の日射は最も多い(C5区分)地域です。

ざっと、地域イメージを持ちつつ、今回用意したモデルプランを入れて基本的な性能を計算します。

そのうえで、いろいろ変更した場合、どのような結果になるかを検討していきます。こうなると、手計算では手に負えず、コンピューターを使用する醍醐味です。

まず基本プランは、少し高断熱にしたG1グレード(樹脂サッシにペアガラス)の断熱性能。

これを、開口部を強化して、LowEガラスに変えてみると・・・。断熱は強化されましたが、夏期と冬期の日射熱取得が減ってしまいました。ではどちらが有利なの?

ということで、エネルギーの評価軸を加えました。そうすると、普通ペアガラスの方が冬期の日射取得によってエネルギーは少ない結果に。ですが、室内環境の安定性(窓際でもヒヤッとしないなど)はLowEペアの方が有利。

ではどちらの設計が優れているの??というと、これは設計者や住まい手がどう選択するかです。

さらに高性能のトリプルガラスでは?、方位を45°振るとどうなる?、日射取得ガラスと日射遮蔽ガラスでは一年を通してどちらが有利?、いろいろなパターンを検討しました。

最後の総合問題は、開口部だけを変化させて、最も良いバランスを見つけてみようというもの。

私は枠の見付けを減らしつつ南面の開口部を大きくし性能を向上、さらに北面の開口部を削減。これで、温熱もエネルギーも一番いい出来に。

これを超えられるか?ということで、15分程度で、いろいろ触って検討してもらって、発表してもらいました。

庇の出を調整したり、ガラスの性能を変化させたりと、私の検討結果を抜く受講生も。

 

いろいろな仕様を検討して、どのような変化するかの勘所が得られたかな。
次回は温熱性能の中でも最も重要な、防露性能と気密性能の実践です。

准教授 辻充孝