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2020年07月28日(火)

木工事例調査⑤「小椋製盆所」 中津川市連携事業

森林文化アカデミーの木工専攻では毎年、全国有数の木工産地の一つである岐阜県中津川市の工房を巡る「木工事例調査」を実施しています。準備と運営はアカデミーと中津川市の連携協定に基づき、中津川市林業振興課にご協力いただきました。

レポート第5弾は、伝統的な挽物(ひきもの)の技法で皿や盆をつくる小椋製盆所です。


2020年7月2日に中津川市坂下にある小椋製盆所の小椋幸治社長にお話を伺いました。器やお盆などの挽物を中心に製作する工房に、店舗「うつわの店まるき」が併設されていました。壁には器の製法が紹介されていて、今回はそれに沿ってご説明を頂きました。

小椋製盆所 看板

製造工程を解説する小椋さん

 

小椋製盆所は以前は長野県南木曽町の木地師の里にありましたが、原木の仕入れの関係や生活環境を考え、昭和33年に現在の場所に移転しました。当時は坂下営林署管内で良質の広葉樹を大量に産出していて、それを仕入れるためだったそうです。その後は各務原市の広葉樹の原木市場で仕入れるようになり、現在は坂下の原木市場で少量を仕入れ、少し溜まった時点で運んでいるとのことでした。

原木置き場
原木から木取りを行い、板にして荒挽きし、その後乾燥させて仕上げ挽きをします。大量の荒挽きの半製品と乾燥場を見学させて頂きました。乾燥は原則天然乾燥で2~3か月(材によっては6か月)かかります。ここでは製材、荒挽きで出るおがくずを利用したストーブが乾燥の一役を担っていました。

半製品の置き場ストーブ

仕上げ場にて挽きを実演して頂き、道具についても説明を受け、すべて自分で使いやすいように作り上げるその繊細さに感動しました。裏側を挽く小椋さん説明を受ける学生たち

販売先は、卸が60% クラフトフェアーなどのイベントが20〜30% あとはネットの売り上げとなりますが、ネットは今ふるさと納税の返礼品の比率が高いとのことでした。
最後に紙に木取り方を書いて分かりやすく説明を受けました。基本は製品のバランスがいいのと仕上がりが良くなることから板目に拘り、また木裏を表にすることで、割れにくく、そりを安定することができ、製品をテーブルに置いたときにおさまりがいいとの説明でした。

小椋さんの描いた図

7~8年前までは、10数人の従業員の方がいて職人も3名働いていましたが、現在は一人ですべての作業をこなされています。挽物全体ではきれいなピカピカしたものは時流ではなく、手掘りの作家物が今は人気があるとも言われていました。
重要なポイントは、節などを予測しながら木取りをすることと、自分にあった刃物を造ることであることが話の中から読み取れたように思います。
長時間にわたり、本当にわかりやすくご説明頂き感謝申し上げるとともに、若い方の後継者が現われることをお祈り致します。

文責:佐古速人(木工専攻1年)