【morinos試行プログラム】ジビエを食べよう!盛況でした
森林総合教育センター(愛称:morinos)の試行プログラムとして、『ジビエを食べよう!―山の恵み、森も恵み ジビエというお肉』を12月21日(土)に行いました。前日の陽気とは一転し、朝は冬らしい冷え込みとなりましたが、日中は風もなく穏やかな1日となりました。岐阜県内はもちろん、愛知・三重など県外からも合わせて13組・24名に参加いただきました。中には最近、狩猟免許を取ったばかりという方もいらっしゃいました。
最近よく耳にするようになった「ジビエ」。元はフランス語で、「狩猟によって、食材として捕獲された野生の鳥獣のこと」です。日本ではシカやイノシシが有名ですが、それ以外にもノウサギ、キジなど狩猟の対象はすべてジビエです。今回は富士山麓で猟師をしているホールアース自然学校スタッフ2名(浅子:あなご・壽榮松:はんなり)を講師に、シカの解体とシカ肉の試食を中心に行いました。
最初に森林文化アカデミー事務局の川尻さんからの挨拶とスタッフ紹介があり、参加者の皆さんもそれぞれ簡単に自己紹介を行いました。ほとんどの方の参加目的が「ジビエが食べたい」「シカを解体してみたい」とのこと。早速、アカデミーの学生が授業の一環で1年かけて造った自力建設プロジェクトの成果物である解体体験施設「里山獣肉学舎」へ移動しました。
今回解体したシカは、郡上市内で有害駆除として捕獲されたメスのニホンジカ。まずはじっくりシカを観察しました。あなごから「シカの足はどうなっているか知っている?」という問いかけが。よく見てみると、指が4本しかありません。どのようにシカが歩いているのか、人間の指と比べてみると、シカは進化の過程で指が1本退化し、主に中指と薬指を使って地面を捉えていることがわかりました。
観察が終わるといよいよ解体です。最初は「剥皮」と言って毛皮を剥きます。その後「大ばらし」の作業で4本の足を外します。ナイフを使って丁寧に筋を切ると関節から足がキレイに外れました。みんな真剣な表情で講師のナイフ捌きを見つめます。その後、大人や子どもも参加し、手分けしながら皮をむいていくと、徐々に見慣れた肉が現れてきました。
ばらされた肉は筋がたくさんあるため、ここから丁寧に筋を取り、余分な脂や骨も取り除きます。この精肉作業がジビエの味を決める大きな要素の1つになるといいます。ナイフの入れ方1つで、筋肉の繊維を断ち切り、やわらかく食べることができます。みんなのがんばりで綺麗に精肉することができました。
作業が一通り終了したため、いよいよ試食タイム。今回はホールアース自然学校の地元・「富士山麓ジビエ」で処理されたシカ肉を持ってきており、それを使ってロースト鹿を作りました。表面を焼き、香草と共に低温で湯せん調理すると、鮮やかなピンク色のロースト鹿が出来上がりました。他にも竜田揚げと焼肉でシカ肉を試食しました。
試食後は猟師の浅子より、猟師がどのように猟を行っているか、どのような道具を使っているか、実際にくくりわなを見せながら話しました。猟銃の免許を持つ浅子からは、猟の現場ではじっと待つことが多いこと、シカの動きを読んで、仲間と連絡を取りながら猟を行っていることなど、普段なかなか聞くことのない狩猟の現場を紹介しました。
最後に焚火を囲んで今日1日の体験をふりかえりました。最初はドキドキしていたという参加者もいましたが、丁寧にシカに向き合ううちに、「いただきます」という意味がわかるようになったとか、「誰かが解体をしているんだ」という子どものつぶやきも聞かれました。
締めくくりは、あなごより「いただきました。ご馳走様でした。」の掛け声と共に、みんなで手を合わせてプログラムは終了となりました。
今回実施した「ジビエを食べよう」に続き、3月7日には「自分で生活を作ろうシリーズ -鹿革ハンドクラフト」を行います。今回は肉のめぐみをいただきましたが、次回は皮をなめした鹿革をめぐみとしていただき、クラフトを行います。たくさんの参加をお待ちしています!
報告者:ホールアース自然学校・ウォーリーこと、大武圭介