美濃市の暑い日常~夏の実測その3~(morinos建築秘話62)
morinosの建つ美濃市は全国でも1位、2位を争う暑い地域。今年も全国一の最高気温を記録しました。
気象庁のデータによると
2021年8月29日(日)は同じ岐阜県の多治見が全国1位で37.6℃、2位が美濃市で37.0℃です。
翌日の8月31日(月)は逆転して美濃市が1位で36.8℃、2位が多治見で36.5℃です。
外気温が体温より高くなると体から放熱ができず殺人的です。
このように毎年のように暑い美濃市ですが、morinosはどのような状況でしょうか。
この暑かった2日を含み快晴が続いた8月28日(土)~30日(月)の3日間の実測データをご紹介します。
まずは外気温のデータを見てみます。
下記の実線がmorinos北の軒下の実測データ。点線が気象庁 美濃気象観測所の観測データです。
計測地が数百メール異なりますが、ほぼ同じ傾向を示しており、3日目は37.2℃(実測値)まで上がっています。
では、この時の室内はどのような環境でしょうか。
上の外気温のグラフに4カ所で計測した室温(折れ線)と電力消費量(緑の面)を重ねてみます。
一番下の茶色い線が床下、黄色が足元、オレンジが腰高、赤が頭の高さの室温です。
暑い日でしたのでエアコンで冷房を使用しています。使用状況は電力消費量を示す緑の面グラフで確認できます。
グラフを見ていくと、床下の室温が1段階低いことが確認できます。3日間平均で25.2℃、最高気温26.0℃です。
理由は4つほど考えられます。①冷たい冷気は比重が重いため床下に沈んでいます。②また床下空間は日射が直接届かず安定しており、③かつ建具の開け閉めでも影響が少ないためです。④さらに、エアコンが床付近に設置されていることも影響しています。
居住空間(黄色:足元、オレンジ:腰高、赤:頭の高さ)の3か所はどうでしょうか。
運用状況のインタビューからコロナ対策もアリ、エアコンをかけた状態でも窓開けを行っているとのこと。
そのため外気が流入して、効率的に冷房ができていない状況を想像しながらデータを見てください。
当然、足元が一番涼しく、3日間平均で26.9℃、最高気温28.4℃と子どもたちの活動する高さは比較的良好です。
ですが、腰高は平均27.9℃、最高気温30.7℃(2日目15時)。
頭の高さは平均28.4℃、最高気温31.8℃(2日目16時)と、夕方に室温が上がり勝ちです。
夕方が室温のピークになっています。時間帯を考えると西日の影響が大きいことがわかります。
測定個所が西側の図書コーナーということもありますが、東や南に比べて屋根の出が短いことが悪さをしています。
計画時は、西側にある桜の木(下の航空写真)に着目し、図書コーナーから桜の木を近くに感じ、心地よい影を落としてくれることを期待していました。
実際、極端な日差しは感じられませんが、葉の隙間から日射が差し込みそれが室温の上昇を促しています。
もう一点、暑さに影響するものとして、南の砂利敷広場からの照返しです。
朝から昼、夕方にかけて徐々に日射が地面に反射して室内に入ってきています。それが夕方の西日でダメ押しをされています。
この外構部分は現在、緑化工事が進行中です。来年度にはさらに心地よい室内環境に仕上がっていることでしょう。
morinosはフリーアドレスの働き方なので、自由に席を移動して涼しい場所を見つけて活動します。
では、この暑い時期の電気代はどのくらいだったのでしょうか。
3日目夕方の最大電力消費量は1時間あたり最大3kWh程度です。アカデミーの電気代は概ね16円/kWh(基本料金含む実績値)ですので、3kWh×16円/kWhで、1時間で最大48円程度の電気代です。
この3日間(72時間)で55.18kWh(緑の面グラフ合計)でしたので、3日間の電気代は883円です。
1室空間なので全館を空調した場合の電気代として高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、健康のためにも暑すぎない空間を実現できる建物性能と設備性能を計画して運用しましょうね。
morinosの電力消費量についての実測分析はまたの機会に紹介します。
空調設備に関しては、下記のブログも参考にしてください。
・薪ストーブとエアコンの空調設備計画(morinos建築秘話29)
メインのエアコンは、床下に沈めたエアコン(下記写真)です。暖房は床下に吹き出しますが、冷房は上部から床上に吹き出すように設定しています。
表面温度に着目した夏の実測1、2のブログは下記からご覧いただけます。
・見えない熱を見る~夏の実測その1~(morinos建築秘話46)
・断熱で熱を遮る~夏の実測その2~(morinos建築秘話47)
morinos建築秘話の全話はHPから見れます。