お気に入り場所をつくる家具。〜morinosの家具3〜(morinos建築秘話61)
■お弁当を食べてくつろげる「小さな豆型テーブル」と「節ありソファ」
morinosの設計がスタートしたとき、ナバさんからもらった設計要望に、
「お気に入りのカフェと図書館とサロンが合わさったような空間」とありました。
ここはmorinosの端っこ。
ゆっくりくつろいで本を読んだり、お弁当を食べたりできるような「居場所」にしたいと考えました。
そこで、寝転がれる大きなソファを置いています。
このソファは、板に木の節があります。節は、そこに枝があった証拠。それが「木の生えている姿」を連想させるデザインになっているのです。
スタッフが疲れた時にお昼寝してもいいかも……。morinosはあたらしい働き方ができる場所です。
テーブルは小さく丸っこい豆型。お子さんが木のおもちゃで遊んだり、お弁当や水筒を置いたりしやすい高さです。
カドがないので、見た目にも優しい印象で、精巧にできた曲線なので、触るととってもいい感じ。
■森と人をつなぐ本や道具がある「無垢の可動本棚」と「展示できる道具棚」
本棚は全て可動式になっていて、何段か外せば大きなパネルを展示したりできます。
森と人をつなげる名著や、設計原案に携わっていただいた特別招聘教授の隈研吾先生の本、スイスnaef(ネフ)社のカラフルな木のおもちゃなど、外から見ても「へー、おもしろそうなものが並んでる」と思えるようになっています。
この「展示」という考え方はmorinos全体に巡っている設計指針です。
木のよさ、おもしろさ、身近さ、加工する技術を、あらゆる部分から感じとることができます。
そして、それを主張しすぎず、さりげなくデザインしています。
「見せる収納」と呼ばれるランダム格子の奥にも、秘密が隠されています。
道具だなに有孔ボードが貼ってあり、格子の奥に道具をチラッと展示しているのです。
morinosは2020年7月に開館して3月末までに73もの楽しいプログラムを開催しており、その道具がここにしまってあります。
ぜひ格子の隙間から覗いてみてください。
■土の洞窟の「丸ノコなぐりベンチ」
ストーブの脇の居場所は「丸ノコなぐりベンチ」が設置されています。
このベンチについては、以前の記事でしっかりレポートされていますが、
使い始めて半年経つと、ベンチの下に薪が置いてありました。
想定通りの使い方です。
ベンチの奥行きよりも長い薪だとストーブに入らないので、ベンチからはみ出ないようになっていれば、座った時も邪魔になりません。
いかがでしたでしょうか?
全3回に渡って家具を紹介しました。
どの家具も県産材で出来ていて、すべての形に理由があることがお分かりいただけたと思います。
morinosの家具がつくりだす「居場所」を体験しに来てくださいね。
・建築秘話58:家具は居場所。〜morinosの家具1〜
・建築秘話59:たのしく森を学べる家具。〜morinosの家具2〜
木造建築教員:松井匠