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2021年04月23日(金)

お気に入り場所をつくる家具。〜morinosの家具3〜(morinos建築秘話61)

■お弁当を食べてくつろげる「小さな豆型テーブル」と「節ありソファ」

 

あえて節のある材を使った広々した【ブナ】のソファ。子どもも大人もゴロンと寝転がれます。

 

morinosの設計がスタートしたとき、ナバさんからもらった設計要望に、
「お気に入りのカフェと図書館とサロンが合わさったような空間」とありました。

ここはmorinosの端っこ。
ゆっくりくつろいで本を読んだり、お弁当を食べたりできるような「居場所」にしたいと考えました。

そこで、寝転がれる大きなソファを置いています。
このソファは、板に木の節があります。節は、そこに枝があった証拠。それが「木の生えている姿」を連想させるデザインになっているのです。
スタッフが疲れた時にお昼寝してもいいかも……。morinosはあたらしい働き方ができる場所です。

テーブルは小さく丸っこい豆型。お子さんが木のおもちゃで遊んだり、お弁当や水筒を置いたりしやすい高さです。
カドがないので、見た目にも優しい印象で、精巧にできた曲線なので、触るととってもいい感じ。

小さい豆テーブル

曲線の触り心地がいい【ブナ】のテーブルです。

 

■森と人をつなぐ本や道具がある「無垢の可動本棚」と「展示できる道具棚」

本棚は全て可動式になっていて、何段か外せば大きなパネルを展示したりできます。
森と人をつなげる名著や、設計原案に携わっていただいた特別招聘教授の隈研吾先生の本、スイスnaef(ネフ)社のカラフルな木のおもちゃなど、外から見ても「へー、おもしろそうなものが並んでる」と思えるようになっています。

外からみたmorinosカフェ

外からみたmorinosカフェスペース。何かワクワクしませんか?

この「展示」という考え方はmorinos全体に巡っている設計指針です。
木のよさ、おもしろさ、身近さ、加工する技術を、あらゆる部分から感じとることができます。
そして、それを主張しすぎず、さりげなくデザインしています。

「見せる収納」と呼ばれるランダム格子の奥にも、秘密が隠されています。
道具だなに有孔ボードが貼ってあり、格子の奥に道具をチラッと展示しているのです。

搬入中の有孔ボードつき道具棚

「あれは何に使うのかな……?」

チラッと斧が……

扉の裏にも展示してあります。

morinosは2020年7月に開館して3月末までに73もの楽しいプログラムを開催しており、その道具がここにしまってあります。
ぜひ格子の隙間から覗いてみてください。

 

 

■土の洞窟の「丸ノコなぐりベンチ」

【ウダイカンバ】なんと大工さんが「電動丸鋸」で表面を加工し、伝統的な名栗仕上げにしてくれました。玄人好みの逸品。

 

ストーブの脇の居場所は「丸ノコなぐりベンチ」が設置されています。
このベンチについては、以前の記事でしっかりレポートされていますが、
使い始めて半年経つと、ベンチの下に薪が置いてありました。
想定通りの使い方です。
ベンチの奥行きよりも長い薪だとストーブに入らないので、ベンチからはみ出ないようになっていれば、座った時も邪魔になりません。

 

いかがでしたでしょうか?
全3回に渡って家具を紹介しました。
どの家具も県産材で出来ていて、すべての形に理由があることがお分かりいただけたと思います。
morinosの家具がつくりだす「居場所」を体験しに来てくださいね。

・建築秘話58:家具は居場所。〜morinosの家具1〜
・建築秘話59:たのしく森を学べる家具。〜morinosの家具2〜

 

木造建築教員:松井匠