構造に関する基本的な用語について(morinos建築秘話33)
morinos建築秘話32「構造システム ”WOODS”」で専門用語をたくさん使ってしましましたので、ちょっと基本的な用語を整理してみました。
◆木造ラーメン構造について
ラーメン構造とは、組まれた骨組みの各接合箇所を剛接合し、部材接合におけるモーメント抵抗が主な耐力機構(剛節接合架構)となっている構造形式をいいます。
建築・土木構造の分野では柱と梁が剛接合している構造をラーメン構造といいます。
しかし、木造では接合部を完全な剛節にすることはできないのが現状です。従いまして、木造では接合部にモーメント抵抗を少し持たせたものを「半剛節接合架構」といいますが、近年これを一般的に「木造ラーメン構造」と呼びます。
接合部を強くすることで柱・梁だけで水平力に耐えられるフレーム(架構)を形成します。これにより、耐力壁による制約をなくすことができ、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のような大開口や大空間を木造で実現可能となります。
◆耐力壁について
耐力壁(たいりょくへき)とは、建物が地震力や風圧力などの水平力に耐えるために必要な、構造上の役割を担う壁のことです。建物にある壁が全て耐力壁というわけではありません。構造的な役割を果たさない非耐力壁も混在しています。
木造の建築物は、接合部分が回転しやすいため、柱と梁だけでは地震や風などの水平荷重に抵抗できません。そのため、各階ごとに所定の量の耐力壁を設置することが義務付けられています。耐力壁の多い建築物は、耐震性・耐風性に優れています。
耐力壁は、軸組に筋かいを金物で取り付けたり、構造用合板などのボード類(面材)を所定の釘で打ち付けたりすることでつくることができます。
◆壁倍率について
耐力壁の構造性能を表す数値として壁倍率があります。壁倍率1.0倍は、壁長さ1m当たり1.96kNの水平力に抵抗できることを意味します。この値が高いほど、性能が高く、大きな水平力に抵抗することができます。
木造軸組構法においては、建築基準法令第46条と建設省告示1100号で、いくつかの仕様の耐力壁について、壁倍率を0.1~5.0の範囲で定められています。
◆水平構面について
木造建築物における水平構面とは勾配屋根水平構面(屋根・下屋)や床水平構面(2・3階床など、ただし1階床は含まない。)、火打水平構面等を指します。
これに対して鉛直構面とは壁(耐力壁)を指します。
水平構面は建物に加わる地震力や風圧力等の水平力を各耐力壁線に分配・伝達させるために必要な水平面や勾配面のことです。
教授 小原 勝彦