morinos試行プログラム『保育士のための危険予知』
岐阜県関市の公立保育園10園の保育士さんが、日頃活動するフィールドでリスクマージメントするための視点を学んでもらう講座、自主的な勉強会にも関わらず、なんと74人以上の保育士さんが自主参加されました。
参加者が37人ずつ、ナバさん班とJIRI班の2班に分かれて、いざ出発です。
川沿いのフェンスに巻き付いたセンニンソウを前に、プロトアネモニンという毒成分が含まれており、葉や茎から出た液体が皮膚につくと水疱ができることを説明。でも、この植物を排除するのではなく、白く美しい花、「仙人」の名の由来となった種子の様子、そしてクレマチス類で見られる葉柄で巻き付く様を、子どもたちと観察することを勧め、同時に危険性を知らせることを伝えました。
ナバさんは、普段の立ったままの見方ではなく、しゃがんで視点を変えることも重要ですよね。
見方を変えれば、気づかなかったリスクが見えてくる。楽しく学ばなければ、次につながらない。
近くに栽培されたシキミがあったので、「植物の中で唯一、毒物・劇物取締法に記録されている」シキミの毒成分アニサチンについて、ジャパニーズスターアニスとも呼ばれる果実が香辛料の八角(大茴香)にそっくりであること、種子をツブラジイの堅果と間違えて誤食される可能性などを説明。
また漢字で「樒」「梻」と書いて、墓前などの供花に使う理由など、そして独特の香りについて、日本人の文化を伝えることも必要だと話しました。
川の法面(護岸)では、筒を通して見るとどう見えるのか?
ダニを見たことがない人も実物を見て、新たな発見をしていました。仲間と一緒に互いに学ぶこと、同じように子どもたちも、仲間と体験から、楽しく、互いに学べるような誘いが重要なのです。
「この護岸って、最高の遊び場所だよね?」、「山の斜面では、子どもたちの歩いた跡がたくさん見られました」
子どもたちがあえて危険な斜面で活動すれば、体幹が鍛えられ、バランス感覚が良くなることで、リスク対応が良くなったりすることも考えられます。
今回のコースで最も危険だったのが、枯れたスギの木です。
幹は完全に腐っており、倒れることを考えると360度のうち、歩道側が一番可能性が高く危険です。
でもこれを単に専門家に処理してもらうよりも、あえて専門家と子どもたちとが一緒になって処理する。子どもたちが滑車を使って安全に処理する体験をさせる方法も伝えました。
さてさて、最後は出発地であった富野保育園に戻って、ナバさんと二人で記念撮影です。
今回は冬の危険予知でしたが、次回は夏に川の危険予知、草むらのマムシなどの危険予知、周辺に生えているウマノアシガタなどについても学ぶ予定です。
関市には10ケ所の公立保育園があり、これまでそれぞれの保育園に出掛けて、野外活動の指導をさせてもらっています。
「チーム森」と称して積極的に活動されている保育士のみなさん、そうした方々と今後もより一層自然を活用した保育に寄り添えればと考えています。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。