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2019年11月20日(水)

morinos試行プログラム『森で算数・理科・社会・英語』

岐阜県教育員会の『自然体験講座「森へ帰ろう・発見と感動体験から気づく学びの本質』で、NPO法人 当別エコロジカルコミュニティー 代表理事の山本幹彦さんをお迎えして森で算数・理科・社会・英語】を体験指導してもらいました。

今回は山本幹彦さん、山本草さん、山本風音さんから、スウエーデンのニュネスハムン自然学校で実践されているものを主体に、様々な体験学習を指導してもらいました。

参加された方々は岐阜県の子ども園保育士、小学校、中学校、高校、特別支援学校の教員の方たちです。

最初は渡されたA4サイズの紙を四分割して、そこに「今日の気分」「自分を知ってもらう」「本日参加の目的や期待」「良く学べるときはどんな時」について記入し、各自が発表しました。

人は一人一人興味が違う。

→ 自分が学べる時はどんな時か?

→ 一人一人学べる時は違います。 その周辺にあるものを使って学ぶ。

さて、山本さんは、「これから少し移動する間に、一人1つ自然物を拾って、集合しましょう」と声を掛けられ、各自が落ち葉やどんぐり、枝を拾いました。私は写真のような顔のあるカリンの果実を持参。

各自が拾ってきたものをゲーム的に「算数」比較します。

算数を理解してもらうためには、実はその前に「言葉の理解」から始める必要があります。その第一歩、小学校に上がる前の年中さんは、「長さを比べる」とか「重たいかどうか」を判断できない傾向があります。

 

まずは、保育士さん用に、持参したものを(1)「短いもの ~ 長いもの」の順に並びましょう。この時は声に出して隣人と長さ比較してコミュニケーションをとる。

次は(2)「小さいもの ~ 大きいもの」の順、何を基準にするのかも重要、(3)「軽い ~ 重い」、(4)「新しい ~ 古い」

 

次の写真は「重さ順」で並んだものです。ちなみに写真のタケの枝を持っているのは山本幹彦さん。

では、次に5~6人のグループになって、各自が持ってきたものを何かの基準で分けてみる。例えば、色、古さ、大きさ、重さ、・・・・など。

その次は2グループが集まって、より大人数で持ち寄ったものを分類し、それを「どのような基準で分類したか」を他のグループに推測してもらう。

こうした実物は絵本のものとは違う。絵本ならば必ず正解があるかもしれないが、自然物を自分たちで分類しているものは、いろんな考え方があり、どこにも誤りはない。様々な価値観で分類する中にも学びはある。

続いては「英語」バージョン。

写真のようなアルファベット表に、英単語の頭文字を表すものを探してきて埋めていく、例えばは「Acorn」、は「LeafとかLong」のように、仲間同士で知恵を絞って表を埋める達成感も重要。

 

ランチタイムのあとは、校庭や園庭でのボード利用のアクティビティです。

ボードには「1、2、3、・・・・10」と数字が書かれています。2グループに分かれて、先頭の人からサイコロ2個を振り出して、出た目を加算したり、引き算したり、乗じたり、割ったりして出た数値に石を置きます。順番に繰り返して、「早くすべての番号に石を置けた方が勝ち」というゲームです。

このボードで、One、Two、Three・・・とか、First、Second、Third・・・とも展開できます。

 

次に、全員が1~10の番号が描かれたベストを着用します。

このボードの前に立って、折り返し地点にタッチして、返ってきた人と2人以上で足し算、引き算で「10」となるようにペアを作るアクティビティです。

その次は、加減乗除で「10」となるように、2人以上で再チャレンジです。

下の写真の4人の回答は「(8+2)×10÷10=10」と発表していました。

その次は「15」と様々展開。

野外で、有酸素運動することで、脳にも酸素が届いて脳が活性化する。こうした効果が屋外での算数に有効な証明にもなり、おまけに楽しい。

次は、ループになった紐を使っての算数(図形)です。

小学校の算数の領域は4つ、①数と計算、②量と測定、③図形、④数量関係です。

5人ほどのグループに分かれて、山本さんが出すカードに書かれた図形、例えば正方形、六角形、八角形、・・・立方体、三角錐を、全員が紐に触った状態でつくります。

空間把握能力と発想、仲間との協調性など様々な事柄が身につきます。

次は「蜘蛛の巣状態に張られた紐」と言っても、経糸のみ状態で中央にフックが付いています。全員が紐を引っ張って、配置されている三角錐や球体、立方体などを釣り上げて、所定地に配置します。

物体の把握、全員の協調性、音頭をとる指揮者、様々な条件が重ならないと成功しません。

アクティビティの最後は、木の枝と紐を使って、1立方メートル(1m3)をつくるです。「数値的に1立方メートルと言っても、実際にどれほどの大きさなのかを自分たちで体感する」ことの重要性を感じる活動です。

その中に何人の人が入れるのか。楽しみながら大きさを体感します。

さて、数々の活動の振り返りと、スウェーデンの事例紹介も含めて山本さんが映像で説明されました。

室内ではストレスがかかるが、屋外であればストレスが排除され、楽しく集中力が高まる。

「体験しての学びは」→「一時情報」、「教科書での学びは」→「二次情報

8つの分野があるマルチ能力(①Word、②Logic、③Picture、④Body、⑤Music、⑥People、⑦Self、⑧Nature)をどう活用するか?

スウェーデンの教科書には「野外で算数とは、紙に書かれた数字や数だけが算数ではありません。算数は自己に気付き、周囲の世界にかかわっていきながら、算数を現実の一部として捉えるということです。それは様々な課題を解決することができるという自信や想像力をも育むものです。」と書かれています。

風音さんが、スウェーデンで学んできたことの多くを私たちに共有して下さった内容も、興味深いことがたくさんありました。興味のある方は山本さんから直接指導を受けあっれることをお勧めしますが、最後にどうしても紹介したい1つを記します。

それはスウェーデンには、子どもにとっても「失敗する権利、ケガをする権利」があるということです。

日本とは大違い、「経験を通して学び、覚え、成長する」、基本的に人として育つために何が必要なのかを教えているのです。

山本さんが交流があるスウェーデンの「ニュネスハムン自然学校」では常勤職員2人と多くの非常勤職員で、年間110クラス、約3000人の児童を指導し、年間300~600人の指導者養成をしているそうです。

 

さて、明日は先生方と、美濃加茂市の山之上小学校で、子どもたちを相手に実践です。明日も頑張りましょう。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。