【morinos試行プログラム】目からウロコ&うなずくばかりの3時間!事業企画と組織運営のポイントセミナー
森林総合教育センター(愛称:morinos)の試行プログラムとして、NPOや個人事業主など、何らかの事業を運営している人を対象としたセミナーを2月27日(木)の午前中、実施しました。
今回は、午後から開催の「第16回ぎふ川と山の自然体験活動の集い」のプレセミナーとして開催したため、自然体験活動に関わる人が多く、9名参加しました。
講師は、静岡県伊豆市にあるNPO法人サプライズの代表理事・飯倉清太さんと、NPO法人ホールアース研究所の山崎が務めました。
最初に森林文化アカデミーの川尻さんよりmorinosの概要説明があり、その後参加者が自己紹介を行いました。それぞれが所属や活動概要や課題、セミナーに期待することなどを話すことで、ゲストの飯倉さんはもちろん他の参加者も互いがどのようなバックグランドをもって参加しているのかがわかります。
今回の参加者は、岐阜県内だけでなく、愛知県・京都府等からも参加があり、NPOだけでなく、個人事業主・会社員など様々な立場で活動している方々でした。
冒頭、山崎より「組織基盤の強化」を考える上で、組織を船に例え、「船体が組織基盤とすると、積み荷が活動と言える。船体がしっかりしていないと積み荷は運べず、逆にしっかりした船体だけあっても、積み荷がなければ、組織の意味がない」と、組織基盤の大切さについて話をし、「この場では誰かが正解を持っているのではなく、それぞれが自身の活動や課題解決のヒントを持ち帰ってほしい」と、セミナーのねらいを確認しました。
続いで、第1パートでは、飯倉さんより1時間弱のレクチャーを、まずは「シャワーを浴びるように」聞いてもらいました。飯倉さんは21歳で起業し、伊豆でアイスクリーム屋を始めました。初めはなかなか売れなかったそうですが、いろいろ試行錯誤の末、3店舗を経営するまでになります。しかし、観光地でゴミ拾いを始めたことを機に、NPOを立ち上げ、人材育成や地域づくり分野の行政アドバイザー、大学教員、民間企業顧問など、様々な立場で活躍されています。
飯倉さんからは、事業を考える上での大切なポイントとして、「自分がやりたいこと」「社会(相手)が求めていること」「自分ができること」の3つのバランスが重要である、ということと、自らが大切にしている視点として、経営の神様と言われるピーター・ドラッガーの言葉になぞらえて「相手から組み立てる」を紹介していただきました。
さらに、事業を動かす際、よく言われる「PDCA(計画・実施・評価・行動)サイクル」ではなく、まず小さく・早く動くことが大切だと指摘しました。
自身の経験に基づく飯倉さんの流れるような講義に、参加者はグイグイ引き込まれていました。メモを取るのに夢中で、冒頭言われた「質問を3つ考えながら聞いてください」は、すっかり忘れてしまったようです(笑)。
第1パートが終了後、少人数で講義を受けての感想や疑問などを共有しました。それぞれ、自分の事業や組織に置き換えて考えることができたようです。
後半は組織の人材育成やマネジメントについても話が広がりました。ここでのポイントは、「Give&Take・損得勘定」、つまり、最初に「Give=与える、損をする」ことが大切だということ。NPOのような非営利事業だと、なかなか受益者から適正な対価を得ることができず、事業の継続が難しいものがあります。しかし、「最初から利益(得)を求めて始めては継続できない、『適当に稼ぐ』ことが大切」という飯倉さんのコメントは、苦労を経た経験に裏打ちされており、示唆に富んだものでした。
最後に、組織を運営する上での好循環の決め手は「関係の質を上げること」というメッセージが。これはマサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授の理論ですが、関係の質を上げることで思考の質が良くなり、それが行動の質に良い変化をもたらし、結果の質を向上させるというもの。これが逆に結果だけを求めてからスタートすると、結果がでないことで、関係の質が悪化し、悪い思考となり、自発的に行動せず、さらに悪い結果となる悪循環となります。皆さん、自身の組織を頭に浮かべたようで、そうだよなぁと頷いていました。
参加者の1人は、「失敗談も交えた”生の声”が聞けたのがよかった。ゴミ拾いなどの何気ない体験の中から、参考になる概念を丁寧に言葉化して頂いていたので、”これなら自分にもできるかも。できることからはじめてみよう”と実感できモチベーションが上がった。」とコメントを寄せてくれました。
飯倉さんのシャワーのような講義、いつまでも浴び続けたくなるような刺激に富んだもので、とても3時間の枠では収まり切れませんでしたが、参加者の皆さんは、それぞれヒントやパワーを持って帰っていただけたのではないでしょうか。
morinosを拠点に、こうした組織基盤強化につながるような学びの場を、これからも創り続けていければと思います。
報告者:ホールアース自然学校ウォーリー(大武圭介)