2022年05月23日(月)
34人!インカレサークル「MOKKO」のアカデミー視察
週末、アカデミーにたくさんの大学生が視察に来ました。MOKKOの皆さんです。
MOKKOは「建築系・デザイン系」と「林学系・林産学系」の学生が中心となり、「都市の木質化」を目指して活動している東海圏の学生グループです。Instagramはこちら。木材、林業、木造建築の普及啓蒙に力を入れている名古屋大学の山崎真理子先生からの紹介です。
MOKKOは製材・流通などいわゆる「川中」については視察済みということだったので、今回は「川上」「川下」をアカデミーで体験していただきました。
今回は34名と大所帯だったので、2つに分かれて2部構成で実施しました。辻充孝教授による施設案内ツアーと、新津裕講師による森林体験ツアーを、写真多めのレポート!
美濃市の道の駅「にわか茶屋」からスタート。実質的にアカデミーが設計を担当し「山が今使ってほしい木の大きさと数から逆算して設計する」という画期的な手法で第5回木の建築賞を受賞した「日本初の木造防災拠点」です。
アカデミー到着。自力建設「木立のこみち」で一休み。お弁当を食べました。
自分達のつくった「木立のこみち」をアカデミー建築学生が解説。今年の自力建設はこういうプレゼンにも使える建築空間になりましたね。
北川原温氏設計で受賞歴多数のアカデミー校舎も辻先生の解説で回ります。「向こうに何かがある、という想像力を喚起するためにわざと暗い場所をつくっている」設計趣旨を解説されて見学すると、感じ方が違いますよね。
規模の大きい木造建築に必要な「防火壁」の解説。万が一の場合にも火の回りを遅くし、消し止めることができることができるように設計してあります。
アイデアを生む空間「みどりのアトリエ」。昨年の自力建設です。家具は木工の先生や学生が協力してくれて質の高いものに。専攻を超えた学びがアカデミーの強みです。
アカデミーテクニカルセンターの外壁。22年経って、ガラスの内と外で、経年変化の違いが見られますね。木の性質を見て体験です。
テクニカルセンターの中には林業道具や昔の山の現場写真展示があります。山から伐り出してくる大変さを見て、山の木を大切に使うこと学びます。
日本を代表する構造設計者の一人、稲山正弘氏考案の「立体樹上トラス」が特徴の森の情報センター。意匠設計と構造設計が木でつながった名作です。
そしてmorinos。参加した実務者の中には、耐震性能と温熱性能の高さに驚きを隠せない人も。
12層の土壁、通称「挟土壁」の解説。この壁をメインの印象として守るために、いろんなディティールを調整しているのです。
施設見学の最後は「オープンラボ」。ここで行われる実験によって木質建材の性能を確認し、世の中に出ていきます。
2部構成なので次は林業の新津裕先生による演習林を使った森林体験ワークです。自己紹介からワクワク感を高めてくれる新津先生。
「ここからは人間より野生動物の方が多い世界。人の場所ではないという敬意を払いつつ、たのしんでいきましょう!」
少し足が疲れてきたなというところで丁度よく話を始める新津先生。「ここまでくると木々が生い茂って、下からの人の声が聞こえなくなってくるでしょ?その代わり鳥や声や虫の音や木々のざわめきを感じることできます」
「はい、これはなんでしょう。猪の頭骨ですね。豚コレラで減った時期もありましたが演習林には二組の親子を確認しています。ここにはアカゲラ、鹿、はぐれ猿、たぬき、キツネ、野うさぎ、テン、イタチ、ニホンリスなどが居ます。毎日歩くと野生動物の痕跡があって楽しいよ。」
「はい!ここに野生動物の痕跡がありますね」と言われも一見わからないのですが、よく見ると木の根元に体を擦り付けた跡が!確かにあります。森の見え方が変わっていきます。
「森の中の四寸傘」は自力建設の記念すべき第1期作品。こうした森のアクティビティで使われて22年になります。ここで森の木に関するワークをやってみます。
新津先生から参加者に配られたミッション。ミッションに沿って「伐るべき木」「残しておきた木」を周囲の森から選びます。班ごとに違ったミッションが課されています。
普段、こんなに木を見上げたり、見比べたりしませんよね。森に生えている木が、今日から違って見えると思います。
各班になぜその木を選んだからをプレゼンしてもらい、そこにコメントしていく新津先生。
林業と、森への案内人の両方を兼ねることのできる新津先生ならではの、たのしく貴重な森林体験ツアーでした。
最後はmorinosで挨拶してお別れ。みなさん今度は「合宿したい!」とのことです。学部卒の若い世代が、林業や木造建築を志してくれることを願っています。
レポート:木造建築教員 松井匠