壁のおはなし。~しっくいってなんだ~(みどりのアトリエ建築日誌1)
皆さんは「漆喰(しっくい)」っという、言葉はご存じでしょうか?
家づくりワークショップ「漆喰塗体験」、「木造の家だったら漆喰の壁が綺麗だよ」などと漆喰、漆喰塗という言葉はよく聞くようになりました。
では、今回の自力建設でも使用した漆喰について学んでいきましょう
まず、漆喰の原材料は、消石灰(水酸化カルシウム)に糊(のり)やスサ(麻)などを混ぜて練り上げたものことをいいます。漆喰は日本だけでなく、住宅様式や気候風土に合わせて世界各地でも独自の発展を遂げている建築材料です。
漆喰はかなりの長い付き合いのある建築材料と言えます。今回の自力建設では畑中産業さんの「大和しっくい」を利用しています。材料は炭酸カルシウム、消石灰、粉末ふのり、補強繊維(スサ)になります。
次に、漆喰壁にするメリットを紹介していきます。
漆喰壁の調湿性能です。漆喰壁は「呼吸する壁」とも言われており、湿度が高い状態だと水分を吸い取り、湿度が低いと水分を放出するようになっています。漆喰には、細かい穴がたくさん開いており、湿気をコントロールすることができるためです。
今回の自力の現場は、川の近くで湿気が多いため、調湿してくれることを狙っています。
しかしながら、デメリットもあります。
クロスや壁の仕上げ材より、漆喰壁のほうが手間と時間がかかってしまいます。まず、漆喰を塗るのには塗る部分の養生がかなり重要になってきます。養生を丁寧にしないと仕上りがぐちゃぐちゃになってしまいます。また、漆喰を塗る人によって壁の仕上がりが変わってきてしまい、漆喰塗は左官職人さんの腕が試されます。自分で施工場合は、丁寧に薄くのばしていくことがコツかなと思います。
実は、森林文化アカデミーのmorinosには、左官職人さんである挟土秀平さんが仕上げた素晴らしい左官壁がありますので、是非見に来ていただきたいです。
アカデミーの土やヒノキ樹皮の左官壁(morinos建築秘話45)
今回の自力建設でも漆喰壁を自分たちで仕上げることに挑戦しました。
漆喰塗り第1回目……
助っ人も来てくれて4人での作業になりました。まずポリバケツに10㎏の大和しっくいを入れ、10㎏に対して6ℓの水を入れて電動ミキサーで10分ほどかき混ぜまる。このときに海の匂いが部屋中に広がるので換気必須。
この海の匂いの原因は大和しっくいに含まれる粉末ふのりにあります。この布海苔(ふのり)が入っていることによって保湿性を保つことができ、しっとりとした状態で作業することができる。漆喰を水と混ぜたときの海の匂いは海藻の匂いとなる。皆さんも漆喰を塗るときに嗅いでみていかがでしょう。
このように、漆喰がダマが残らないようにしっとりするまで混ぜていく。全体を混ぜたつもりが端っこが混ざりきっていないので端まで混ぜてあげる。ここで手を抜くと施工のときに伸びづらい漆喰になってしまう。
ここから漆喰を小手に乗せて壁に塗っていきました。YouTubeに掲載されている左官職人さんは簡単そうにコテ板からコテにひょいと乗せますが、それが意外に難しい!!
いや、難しいどこらか素人にはできない職人技であることを実感しました。
4人がかりで行ったので半日で作業を終えることができ、達成感に満ち溢れていました。
しかし……
漆喰塗り第2回目
1回目の漆喰塗りを終えた数日後先生たちに出来栄えを見てもらいました。僕の中では「なかか、進んだね」「いい感じだね」と肯定的な意見をいただけると思っていたでのですが、現実はそう甘くありませんでした。
「やらないほうがよかったかも」「やり直しだね」
なかなか厳しいお言葉をいただきました。理由としては、柱のチリが養生が甘くかなり汚れていた、端部の隙間が空いている箇所がある、シーラーをしたのにも関わらず黄色のシミがでている、木部に塗った漆喰が活着せず浮いていると自分の端部への美意識が足りないことを痛感しました。
シーラーを二度塗りしましたが、木部に直接塗った場所ではアクがでてきてしまった。
その後、しっかりと養生をし直し端部を漆喰で納め、アクが浮き出ているところは上から二度塗りをおこないと改めて端部への美意識をもって漆喰を塗りました。
このように端部まで意識して漆喰を塗ると、建物自体もパリッと引き締まって見える。漆喰塗は準備8割施工2割という言葉を聞いて、確かに養生とかにもっと気を配っておけば二度手間にはならなかったなぁと思いました。
しっかり塗りなおした漆喰壁は端部まできれいになっていますので、もし「みどりのアトリエ」にお越しの際は壁をまじまじと見たり、触ったりしてみてください。
20期生 杉山優真