「明宝ワサビ田復活プロジェクト」授業が始まりました。
数年前から、アカデミー卒業生が管理を任されているワサビ田(郡上市明宝)の復活に向けた活動に関わらせていただいており、今年もプロジェクト授業として開講しました。
各専攻分野からエントリーがあり、結局クリエーター科1年生の2/3にあたる11名が履修してくれました。
現地に到着し、装備を整えてからワサビ田に向かいます。
川を渡るので、胴長靴を履いています。 今回は水位が低くとても楽に渡れました。
アカデミーの1期生、Yさんから、この活動に至る経緯と今後の展望についてお話をうかがいました。
実際の管理作業をお手伝いしながら、ワサビ栽培のポイントを学んでゆきます。
Yさんの方針として、他所から苗を購入して効率よく栽培する方向ではなく、できるだけ自然力を活かした方法でワサビ栽培を続けてゆきたいということです。
ワサビはアブラナ科の常緑多年草です。毎年4月~5月に、花茎を長く伸ばし先端部に小さな白色の花多数をつけます。
受粉した花は、小型の鞘となり、中に数粒の種子を作ります。 今年は、花がたくさんついて結実も多かったようです。
本日の作業として、この花茎が水の流れを阻害するので、茎元から手で折り取って集めます。
それを田の周囲にばら撒き、発芽を試みるということです。昨年同様の方法で試して、発芽が多数確認できたので、今年は散布場所を広げてみるとのことでした。
その方法がうまく行けば、苗を自家調達できるので結果が楽しみです。
テーブルを囲んで交流しながら昼食を取りました。
Yさんの奥様もご一緒していただきましたので、女性視点で山里暮らしの楽しみやご苦労話を聴くことができました。
昨年から始めた、ワサビ田を活用したイベントを今年も計画中とのことで、アカデミーの学生には企画運営参加という立場で希望があれば受け入れていただけます。
このプロジェクトの目的とするもう一つの学びの提供です。山村地域で放置されてゆく傾向にある様々な自然資源の再利用、新たな活用については、今後、移住者の手に委ねられてゆく可能性が高く、林業の副産物として、あるいは環境保全の一形態として注目すべき分野であると考えています。
人数が多かったので、Yさんの作業のお手伝い組とアカデミーでお借りしているワサビ田の作業組と、二手に分かれて活動しました。
アカデミーでお借りしてる田は、昨年度半分収穫をして、残りの株は獣害防止用にネットを直かけして越冬しました。 効果は抜群で、一切食害を受けていませんでした。
春先に、ネットをかけなおし、成長を促します。
時には葉を食い尽くされてしまうほど大量発生するナノクロムシ、カラスノメイガの幼虫等、害虫抑止の効果も狙っていますが、ここは気温が低いためか、さほど害虫が発生しません。
だから消毒も不要です。 Yさんの近自然栽培方針に良く適している場所だと感じています。水量も豊富でとてもポテンシャルの高いフィールドです。
なので、アカデミーの田のネットかけは、もっぱらカモシカ、シカの食害防止策です。
収穫後に空いたスペースを「カズサ」という特殊な形状の鍬で耕します。
収穫は1年半から2年周期で、その間、作土に手は入れません。苗を植える際に良く耕して、蓄積した泥を洗い流し、通水性を高めます。
これが最も筋力体力を要するワサビ田の作業ですが、最近ではエンジン付きの水中ポンプを持ち込んで使う例が多く、労力も軽減されつつあります。
耕したあとに、周囲の自生苗を植えこみます。
一般的な栽培では、畑で栽培した苗(ひげ根が発達するため植え付け後の成長が早い。)を他所から購入して(1本30円くらい)植え付る場合が多いようです。
効率よい育苗にはハウス等の越冬設備が必要と言われています。
再びネットをかけて終了です。
お土産にワサビの茎を摘んで持ち帰りました。
本プロジェクトでは、ワサビの調理方法も数種類体験してもらいます。今回第一弾は「三杯酢漬け」です。
塩もみの時間を省略して半生で漬けてしまったので、どうなるかちょっと心配です。
以上、報告は原島でした。