長良川(ながら)んちぼっくす2021 製作レポート③
2021年10月8日(金)~10日(日)の3日間、長良川てしごと町家CASAにて、森林文化アカデミーの授業の一環として木工専攻の学生4名によるお弁当箱展を開催致します。岐阜県産材を使用し、各々が考え制作したお弁当箱です。展示期間中は作品の販売も行います。皆様のご来場をお待ちしております。
4人の学生が製作したお弁当箱はどんな想いで作られたんでしょうか、それぞれにレポートしてもらいました。
森と木のクリエーター科 木工専攻2年の水上淳平です。
10月8~10日に行われる企画展「長良川(ながら)んちぼっくす2021」今回は木工専攻2年生の水上が製作のレポートをいたします。
私が製作したのは「長良杉-曲げわっぱ」です。毎日使いたくなるように軽くて柔らかい肌触りと、冷めてもおいしいご飯が食べられるようにこだわりました。
1つ目のこだわりは木材。無塗装でもなるべく長く使って欲しいと思い、このお弁当箱には長良川の最上流にある郡上市で育った杉を、伝統的な方法である「新月伐採・葉枯らし乾燥」をした木材を使用しました。カビの原因となるデンプンが木の中に少ない10月〜12月の新月前の一週間の時期に伐採をし、そのまま半年間林内で葉をつけたまま乾燥させることで、デンプンをカビから守る成分へと変えてくれます。今回はこの丸太を林内から運び出すところから始まりました。
2つ目は「曲げわっぱ」です。名前の通り木を曲げてわっぱ状にする技法のことです。薄板をお湯で茹でて柔らかくすることで曲げることができます。丈夫で軽い上に、詰めたお弁当は不思議と美味しく見えるので、この方法を選びました。
曲げわっぱには、曲げやすく美しい天然の桧や杉が使われることが多くあります。今回使用した人工林の杉は、天然ものと違い木目が荒く小さな節が多かったので曲げる際に割れてしまい曲げるのに苦労しました。
重なる部分にカンバと呼ばれる山桜の樹皮を編み込んでいきます。自然素材を使う伝統的な方法で、1番好きな作業でした。
仕上げに一手間、手彫りを施すことで野生味のある杉の表情を活かしました。柔らかい杉をキレイに彫り上げるのが難しい作業でした。
柔らかい質感、調湿効果、香りなどの、素材感を残すことを一番に考え、塗装は最小限に外側をオイル、内側は無塗装で仕上げました。その反面、どうしても汚れはつきやすくなりますが、柔らかいスポンジで洗ってしっかり乾かせば長く使っていただけます。お弁当箱は生活の道具です、あまり神経質にならず毎日使っていただきたいと思います。きっと毎日のお弁当が楽しみになりますよ!ご来場をお待ちしております。