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2019年11月21日(木)

紅葉まっさかりの白山白川郷ロングトレイル~歴史と文化を感じる森林利用~

11/18(月)岐阜県大野郡白川村へ伺いました。

「森林空間利用の事業化」の授業で白山白川郷トレイルを体験しました。

 

まずはガイドの蟻原陽一さんと待ち合わせ、白山白川郷トレイルについて、自然や文化に触れることができる総距離約100kmに及ぶロングトレイルであることを説明いただきました。

その後、早速トレイルの体験へ。
ロングトレイルの一部である、中山(なかやま)峠までの古道を歩き始めます。
風が強いものの紅葉が青空に映え、気持ちの良い登り始めです。

 

色とりどりの落ち葉を見ながら、何か遊びに使えそうだ!と楽しくなってポケットに拾い
集めました。
所々で倒木をくぐっては進むうち、まるで茶室の入り口のように感じ、山に入っていくた
めに気持ちを整える感覚でした。

 


この古道は石川県境の加須良(かづら)集落まで続く2つの峠を超え、およそ6km続きます。

昭和42年に加須良集落8家族が集団離村して以来使われていなかった古道を、
白山白川郷トレイルクラブの皆さんが再度歩けるよう整備されました。

歩きながら、荷物を背負った牛を引いて歩いた当時の様子を聞かせてくださいました。

1時間ほど古道を登ると、中山峠に到着。
浄土真宗を伝えた蓮如上人が手をついて休んだといわれる蓮如峠を遠望しました。

 

ここで、蟻原さんから加須良集落が集団離村することになった経緯を聞かせていただき、
当時の村民の方々の苦労が伝わってきました。
郵便配達も泊りがけの、町から離れた土地で8家族の共同生活を営んでいたものの、

何らかの理由でそれが維持できず離村を決断されたそうです。

 

古道を下りきったのち、展望台から白川郷の合掌造りを眺めながら昼食をとりました。
午後は先ほどの展望台と逆の、南側から合掌造りを望むことができる山へ向かいます。
実はここ、2mを超す積雪期のみスノーシューで歩いて見に行ける場所。
ということで、雪のないこの時期は木々の間から合掌造りを眺めました。
雪が積もった状態を想像して集落を眺めるのも、面白い試みと感じました。

 

そして、蟻原さんが経営されるゲストハウスへ。
現在の課題や今後の展開についてお話を聞かせていただきました。

白川郷が世界文化遺産だけではなく、自然の中にいることができる土地として
広く世の中に認知されるよう活動したい、と蟻原さんが熱く語られていたのが印象的でした。

 

お話から、森林空間に歴史や信仰を結び付け、森林の中を歩き癒されるだけではなく、

人々が歴史や信仰に親しむことで知的好奇心を掻き立てられる点が
このガイドサービスの強みであると感じました。

また、蟻原さんがガイドされる際の言葉遣い、歴史的背景を伝え興味を引く話し方を、

私が今後インタープリターとして活躍するために身に付けたいと思いました。

 

こうして小雨降る白川村を後にし、帰路につきました。
貴重なお時間をいただいた蟻原さん、ご案内いただき、誠にありがとうございました。

 

報告:森と木のクリエーター科1年 森林環境教育専攻 星野 慧

担当:森林環境教育専攻 教授 嵯峨創平