林業と木工学生が一緒に学ぶ『広葉樹の簡易製材と木材乾燥』(動画)
昨年の11月に広葉樹の伐採から製材、乾燥まで、立木から材木になるまでの一連を体験する実習『広葉樹の簡易製材と木材乾燥』を行いました。今年の実習地は有限会社根尾開発さんにご協力頂き、管理林内のブナの間伐をさせて頂きました。いつもアカデミーの実習にご協力頂き、この場を借りてお礼申し上げます。
この実習は、街路樹や支障木など、通常の流通から外れた木をモノ作りに使ってほしいという近年の木工分野に生まれたニーズに応えるために始めたものです。この実習を通して、学生はどれくらいの木であれば自身で扱えるものなのか。立ち木を材料にするために、どのような工程や段取りが必要なのかを体験します。
今年はこの実習に林業専攻の学生も参加してもらいました。実は通常の林業では広葉樹を有用材として扱うことはほぼありません。一方でこの授業では広葉樹を主要な材料とする木工専攻の学生とまじりあうことで、普段は扱うことがほぼ無い広葉樹の価値についても意識を広めてもらう場としました。
この授業は木工専攻の学生を対象にしているため、チェーンソーも使っていますが、あえてノコギリやトビといった手道具も使ったミニマムな伐倒、造材(切った木を丸太に切り分けること)を体験してもらいます。
山から木を下ろしてくる。
丸太を板に挽(ひ)いて乾かす。
言葉にするとそれだけのことですが、実際に体験してみると、それがいかに大変で頭を使うことなのかがよくわかります。木を使う人と山から木を出す人。近いようで実はそれぞれよくわかっていなかったこと。2日間の実習を通して少しでも体感してもらえたら、作り手として、林業の担い手として、とても良い経験になると思います。
山から切り出したブナは学校の簡易製材機で製材してビニールハウスの乾燥庫に桟積みしました。次の秋ごろにはモノ作りに十分使える含水率(7~9%)まで乾燥する予定です。今回の丸太は国産のブナ材では珍しいほどに偽心材(ブナ材に多く見られる赤黒く変色した部位)が少ない白いキレイな板がとれました。モノ作りに使うのが今から楽しみです。
木工専攻 講師
前野 健