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2019年08月14日(水)

生き物を通して身近な自然を知る〜Cr1年「昆虫・魚類同定実習」

少し前になりますが7/31、8/1の2日間にわたり、クリエーター科の学生を対象に昆虫や魚類などの同定について学ぶ実習を実施しました。

これまで樹木同定実習において、木本植物の見分け方を学んできましたが、里山やその周辺の環境にはそれ以外にも多くの生物が生息しています。例えば森林や草地には昆虫類が、水辺にはそれに加えて魚類や両生類が見られます。それらは直接人々に利用されるものではなくても、人々の生活や生業と様々な形で関係しています。

昆虫類は最も身近な野生動物ですが、衛生害虫や、農林業において害を及ぼす種が知られています。森林環境教育の現場では様々な昆虫の生態を題材にすることがありますが、一般には害虫以外の多くの種はあまりに気にかけられていません。魚類も身近な野生動物ですが、食用とされるもの以外はほとんど意識されていません。両生類もカエルの鳴き声などで意識することがあるかもしれませんが、身の回りにどれだけの種類がいるのか気にする人がどれだけおられるでしょうか。しかしそれらもその地域の自然を形成するメンバーであり、私たちの暮らしや周囲の環境と密接に関わっています。この実習では昆虫や魚類の同定技術を学ぶだけでなく、実習を通して身近な自然を見る目を養い、身の周りの自然環境について考えてもらうことも目的としています。

1日目は玉木先生の指導のもと昆虫の同定実習。市内の少し標高の高いところに移動して昆虫を観察し、採取します。

オニヤンマ

オニヤンマを捕獲。これは観察後、逃しました。

カラスアゲハ

道端の水たまりに来ていたカラスアゲハ。これも観察後に逃しました。

ヘビトンボ

ヘビトンボの成虫。トンボの仲間ではなく、ウスバカゲロウの仲間。

ある程度の昆虫が取れたら持ち帰って、標本作成と同定を行います。

標本作成

標本の作り方を学んでいます。集中力が必要ですね。

脚や触角を伸ばして形を整えてから、各自図鑑で調べます。これらの作業を通して各分類群の特徴を自分たちで掴んでもらいます。

あまり昆虫をじっくりと見たことのない人も多かったようで、その造形や生態に興味を持った人も多かったのではないでしょうか。これまで昆虫は苦手だったという人もいましたが、今回の経験を経てかなり克服できたようでした。

 

翌日は魚類の同定実習。最初に魚類の形態、分類群、河川形態などについて簡単に講義をしました。さらに他であまり伝える機会のない文化財保護法、種の保存法、外来生物法など魚類などの採取に関連する法規制についても話をしました。その後近隣の水路で採取を行いました。

採取したものはその場で同定します。それぞれの特徴を説明しながら見ていきます。

魚の観察

観察ケースに入れて同定。カワムツ(左)とヌマムツ(右)

またコオニヤンマ、ハグロトンボなど複数種のトンボ類の幼虫(ヤゴ)やコオイムシなどの水生昆虫、アメリカザリガニやウシガエルの幼生などの外来生物も確認されました。

ヤゴ類

ヤゴ(トンボ類の幼虫)も採れました。

ウシガエルのオタマジャクシ

巨大なオタマジャクシ!ウシガエルの幼生です。特定外来生物。

たった二日間の実習でしたが、これまであまり目を向けたことのない生き物や周辺の自然環境について知った学生も多かったようでした。とりあえず今回の授業で大まかな分類群の見分け方はマスターできたと思いますので、今後は自分たちで調べることを繰り返して欲しいと思います。そして身の回りの生物から、地域の生物多様性や自然環境のあり方に目を向け、自分たちの暮らしやこれから関わっていく仕事とどのように関連しているのかを考え、役立ててもらいたいと思っています。(教員 津田)