「古民家の再生」美濃の旧松久邸で“実測野帳”作成!
今年度から森林文化アカデミーでは「古民家再生」の授業がはじまりました。
この授業では【古民家の見方・調べ方】と【古民家の良さを活かした再生の要点】を学びます。
日本は2030年には3割の家が空き家になると言われており、リフォーム・リノベーションの設計は、これからの設計者には必須のスキルです。中でも古民家リノベーションは、その風合いや文化的見地からも注目を集めており、観光施設としても地域のつながりをつくる場としても、利活用が重要視されるようになりました。
古民家は現代の一般的な木造住宅とは少し違うつくり方がされていて、良さを活かした再生のためには古民家の特性をよく知っておく必要があります。それを学ぶのがこの授業です。
近年、美濃市に寄付され、美濃市はこの建物を利活用するため、10年間無償貸与する形で、修理・利活用運用してくれる民間業者をプロポーザル形式で募りました。その結果「丸重製紙+一般社団法人NOTE」による提案が採択され、この建物を改修、整備することになったのです。
今回の授業では、建物の内部の高さと意匠を測る「野帳」を採りました。これは実際に部屋に立って、図面でいう展開図にあたる画を描き起こすというもの。図面→施工という普段の設計業務と逆ですね。これによって建物のつくられ方がわかると同時に、つくり手の意図を理解することができます。その建物固有の「良さ」を感じる方法としては、一番良い方法ではないでしょうか。良質な建物で行う「実測調査」は、とても贅沢な時間です。
丸三日間の調査実習で、寸法の入った13枚の野帳が完成しました。改修設計は、これを見ながら行うことで、より詳細に詰めて設計することが可能です。また、この建物が持つ独特な雰囲気を三日間感じ続けながら、構造からディティールまで採寸したことで、この建物の改修設計で残すべき部分が見えてきました。
みなさん、寒い中の実測、たいへんお疲れ様でした。みなさん渾身の成果品は、調査報告となって、今後の設計に活かされます。授業はここで終了ですが、詳細調査はまだまだ続きます。この建物の良さを最大限に活かしたリノベーションになることを願って、気を引き締めて調査していきたいと思います。