韓国へ向けた木造建築構造の技術支援活動(その2)
2017年より韓国へ向けた木造建築構造の技術支援活動を実施してきています。この数か月間は、新型コロナ感染症の影響により韓国への渡航ができない状況ですが、日本国内でできる技術支援のための活動を進めてまいりました。
以前ブログでもお話ししましたが、韓国ではすべての建物について構造計算をしなければいけません。(※ 一部に除外規定はあります。)その構造計算の結果を「構造安全性と耐震設計書(5階以下の建築物など)」に記入し、建築確認の際に提出しなければならないのです。
そこで、(その1)でお話しいたしました、約2700ページ和訳した関連法令を読み解きながら、最近韓国で法改正のあった内容について、特に地盤の評価方法に関して読み解きましたので、エクセルを使って建築確認に利用できる書類づくりのサポートを行いました。
エクセルでいくつかのセルに数値などを入力すると、自動的に「構造安全性と耐震設計書(5階以下の建築物など)」を作成するツールと、そのユーサーズ マニュアルを作成しました。韓国の実務者向けに韓国語版と、韓国への輸出など林業・木材・木造建築関連の方々向けに日本語版を作成しました。
このツール&マニュアルを使って、韓国の実務者に技術研修をした(この御時世ですので、もちろんオンライン技術研修です。)ところ、韓国の木造建築業界関連の方々も皆さん構造に関しては非常に苦手のようで、「なかなか通せなかった建築確認がスムーズに通り始めました」と、どうやら好評なようです。
このツールを使っていただいて、岐阜県産材も徐々に利用が増えつつあるようですので、この半年の私の巣ごもり「韓国法令翻訳作業」も、なんとなく役に立てることができたのかなぁと感じています。
日本国内でもこのツール&マニュアルを使って、日本の林業・木材・木造建築関連の方々向けに技術研修をして欲しいという御要望をいくつか寄せていただいております。コロナの影響が収まったところで研修会などができるといいなぁと考えています。
教授 小原 勝彦