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2017年07月15日(土)

木造建築の新しいかたち(その73)木質構造に関する住育の取り組み

実務者のスキルアップをする住育:専門技術者研修「木造建築の構造性能検討ツール演習」を開催しました。この一連の研修は、エクセルにて私小原が作成したツールや、無償で提供されているソフトなどを利用して、木造建築の構造性能の検討をツールやソフトを実際に使って演習する研修となっています。

第5回は『時刻歴応答計算ツール』について開催しました。

まずは、時刻歴応答計算が有効な設計法について、『減衰考慮型設計のすすめ』と題して研修を行いました。

時刻歴応答計算は、超高層ビルなどを設計する際に実施する構造計算の方法です。また、壁量計算や許容応力度計算では考慮されていない『減衰』の重要性について説明しました。

次に、森林文化アカデミーの受託研究でメーカーと開発した『時刻歴応答計算ツール』を利用して、入力データの作成、データ処理(時刻歴応答解析)、その結果の見方について、各参加者がノートパソコンへの入力を通じて演習しました。高田友和氏(住友理工株式会社 化工品事業部 免制振デバイス技術部)に御協力頂き、演習を実施しました。

入力するのに必要な情報は、実務で普段から実施している壁量計算の結果です。壁量計算が完了していれば、即時データ入力からデータ処理まででき、地震時の建物応答のチェックなどをすることが可能になります。

解析するとその挙動をアニメーションで見ることが可能です。(2階がすごく変形しています・・・。)

 

木造の2階建て以下の住宅では通常の設計業務で時刻歴応答計算をしないと思いますが、壁量計算や許容応力度計算では実施していない減衰効果の考慮ができ、大地震時の挙動(建物の応答)をビジュアルに見ることができます。岐阜県産材を利用した建物について、より一層安全な木造建築の設計へ繋げてほしいと考えています。

 

准教授  小原 勝彦