木造建築の新しいかたち(その57)木質構造に関する住育の取り組み
実務者のスキルアップをする住育:専門技術者研修「これからの木造建築構造を考える」を開催しました。この一連の研修は、前半では講師の方に話題提供をしていただいて、後半では参加者の皆さん含めてこれからの木造建築構造についてディスカッションする、研修となっています。
追加研修として、『熊本地震の震災調査速報から住育(木造建築構造関連)、次世代の木造建築構造へ』というテーマで、私、小原がお話ししました。
5月から6月にかけて、熊本地震の震災調査に学生と一緒に行ってまいりました。その速報会を実施しました。益城町では、旧耐震(1981年以前)の木造住宅の倒壊率は非常に高く、新耐震(1981年以後)であっても2000年以前の倒壊率は少し低く、2000年以後の木造住宅の倒壊率は非常に低かったです。しかし、この2000年以後の木造住宅でも倒壊してしまった建物があることは、非常に問題であり、早急な原因の究明が必要です。
これらにはいくつかの要因が考えられますが、減衰を用いた構造検討をすることで、解決できそうなものもありました。現に、益城町(震度階7を2回、6弱を1回)で制振ダンパーを設置した建物は、外観上の損傷はほとんどない状況でした。
後半のディスカッションにつきましても、参加者の皆さんから震災被害や制振ダンパーについて多くの質問やコメントなどを頂きまして、非常に盛り上がりました。
准教授 小原勝彦