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2023年01月26日(木)

木の建築賞 ムクファースト崇秀記念賞(プレゼン動画)

morinosが木の建築賞 ムクファースト崇秀記念賞を受賞しました。

NPO木の建築フォラムが主催する「木の建築賞」は、木の建築や木の利用に関わる活動を発表し、相互に評価するとともに、賞の選考過程をこれからの木の建築や活動のあるべき方向を探る議論の場とすることが目的です。

選考基準は、
1.地域の文化や風土が表現され、木の建築文化と芸術の振興に寄与していること。
2.木材を主として用い、森林の保全、林業、木材産業の振興に寄与していること。
3.地域の事業者や職人が主体となり、木の建築技術の継承や地場産業の発展に寄与していること。
4.木材の持続可能な利活用が図られ、木の建築の修復や再利用、長寿命化に寄与していること。
です。

一次選考<書類選考>を経て、二次選考が11月5日に浜松市の静岡県農林技術研究所 森林・林業研究センターにて行われました。

その後現地審査、最終選考を経て、この度、「morinos」がムクファースト崇秀記念賞をいただきました。

最も重要な二次選考会の様子を紹介します。
選考会には、書類選考で選ばれた20作品がノミネートされ、10分のプレゼンと4分の質疑で構成されています。

アカデミーから「morinos」と自力建設「木立のこみち」が選ばれました。

10分という短い時間で建物の魅力や考えてきたことを伝えるのはなかなか大変でした。
全体の構成を考えて、リハーサルを行い修正と何度も繰り返します。

リハーサル時の動画が残ってましたので紹介します。これで12分くらい。当日はさらに2分短くして、ぴったり10分に納めました。

プレゼン後の質疑の受け答えもなかなか大変です。
第一線で活躍される方が審査員として、ずらっと並ばれています。

選考委員長
三澤文子/Ms建築設計事務所 代表
選考委員
安藤邦廣/里山建築研究所 主宰・筑波大学名誉教授
泉 幸甫/泉幸甫建築研究所主宰・日本大学客員教授
稲山正弘/東京大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻材料・住科学講座
杉本洋文/(株)計画・環境建築代表取締役
槌本敬大/国立研究開発法人建築研究所材料研究グループ 上席研究員
速水 亨/速水林業代表・(一社)日本林業経営者協会 顧問
藤原 敬/(一社)ウッドマイルズフォーラム 理事長・(一財)林業経済研究所 フェロー研究員
松井郁夫/(株)松井郁夫建築設計事務所 所長
南 雄三/住宅技術 評論家
安井 昇/桜設計集団一級建築士事務所 代表
山崎真理子/名古屋大学大学院生命農学研究科 准教授
山辺豊彦/山辺構造設計事務所 代表
客員選考委員
池田潔彦/静岡県立農林環境専門職大学 教授
石川春乃/静岡理工科大学理工学部建築学科 准教授
佐々木康寿/名古屋大学名誉教授
田島昌樹/豊橋技術科学大学建築・都市システム学系教授
古川忠稔/中部大学大学院 教授

錚々たる審査員の方が18名全員集合です。
私も教員なので、話し慣れている方ですがこれで緊張しないのは無理。どこから質問が来るか予想できません。

丸太足元の劣化対策や通風性能についての質疑がありましたが、十分検討していた内容でしたので、上手く返答できたと思います。

自力棟梁の橋本さんも皆さんの前でプレゼン。非常に貴重な機会です。
特に審査員の稲山さんはアカデミーの構造設計者の方。一部、面格子構造を撤去しての自力建設にどのような反応があるのかドキドキモノでした。
結果、稲山さんからは、劣化している部分を上手く修繕し活用してもらっていてありがたいとのコメントをいただきました。

そして、後半1時間強は、審査員と応募者が輪になってのディスカッションです。木の建築賞はこれが特徴です。オープンな議論を行う建築コンぺで、審査過程にほとんどブラックボックスがありません。

審査員長の三澤さん進行のもと、職人さんの人材育成の話題や都市型木造の可能性、木を伐出した跡地の植林など、それぞれの建築について内容を深堀していきました。
非常に稀有で素晴らしい審査会です。

審査会に参加されている方の投票を中心に三次選考の現地審査に残る建築を選定します。
morinosは三次選考に残りましたが、自力建設は惜しくも残れませんでした。

その後、12月7日に現地審査として、審査員の南さん、槌本さん、田島さんの3名が来校。morinosを説明しました。

丸太の力強さや、日差しが差し込むポカポカとした暖かさを体感していただきました。こいいった魅力はなかなかスライドでは表現しきれません。

また、せっかくならということで、木立のこみちも学生が説明。本来の枝のように徐々に細くなっていく樹状トラスが素晴らしいとのコメント。

このような過程で、morinosが「第17回 木の建築賞 ムクファースト崇秀記念賞」に選定されました。
これは和歌山の山長商店さん11代目 榎本崇秀さんを祈念して現社長が創設された協賛賞で木の建築賞に冠をつけた上位賞として位置づけられるとのこと。特に無垢材を丁寧に使っている建築が選ばれるようです。

教授 辻充孝

アカデミーが関わった建物として、「道の駅美濃にわか茶屋」が第5回 木の建築賞大賞を受賞、
2001年自力建設「森の中の四寸傘」と2002年自力建設「みさきのちゃや」が第一回木の建築賞優秀賞を受賞しています。