自力建設2022プロポーザル講評会が行われました
2022年度自力建設「木造建築倉庫(仮)」の課題発表から一ヶ月、ついに6人の一年生による設計提案のお披露目です。
まだ入学から二ヶ月で、全学生と副学長、教員たちおよそ100人以上の前で発表するという過酷なスケジュールで始まる自力建設。
悩んで行き着いたプレゼンをする直前の一年生の表情は、これからクリエーターとして生きていく最初の覚悟がみて取れて、教員としては毎年感動的です。
まず辻先生から自力建設プロジェクトと今年の課題の説明がありました。
会場には他専攻やエンジニア科も一年生もいますので、条件について丁寧に解説があり、このプレゼンを聞いた全員から一人一票の投票があり「代表設計者兼棟梁」が決まることを再確認。このコンペは設計案ではなく棟梁となる「人」を選ぶコンペです。
建築一年生の中川さんから共通条件の解説。「木造建築倉庫」に求められる機能や要望を共有します。
設計提案のトップバッターは小部哲郎さん。
「ととのう倉庫」というコンセプトで、機能的でシンプルな設計を提案。直線状に増築しながらすっきりとまとめ上げた案でした。質疑応答にも率直に回答します。
次は坂本一哲さん。23歳、学部卒の新星です。「つながる」をテーマに誰でも立ち寄ることができ、自由に回遊できる倉庫を設計しました。
活発な質疑がこの講評会の良さです。年齢も経歴も出身も様々な学生同士、質疑を通して多くの学びがあります。
三番手は中川弥沙さん。彼女も学部卒。今年の建築は若いなあ。同じく「つながる」をテーマに新築の倉庫を設計。竹を使うという今までの自力建設にない、おもしろい提案でした。ジェスチャー多めのプレゼンが会場を沸かします。
休憩時間は各自の用意したブースで、自分のつくった模型やイラストを前に大勢から質問を受け付けます。
吉野先生と中川さんが圧縮加工した竹が大人気。竹林整備は里山の課題なので、みんな興味津々です。
後半は坂井梨奈さんのプレゼンからスタート。“秘密基地”から着想し「丁稚基地」。学生が自分の未来に向かって新しい学びを身につける基地というポジティブなイメージで丁稚という語を使用し、明るく清潔で段差のない室内や、車付けを考慮した機能的な全体計画でした。
小島亜素佳さんは「寄点楼」と題した人が寄っていく空間の提案。収納物を分類して数え上げ、整然と収納できる棚と、倉庫内の採光に工夫がありました。3Dモデルのレンダリングを駆使し、全体のイメージをわかりやすく伝えました。
ラストは杉山達彦さんの提案。大径材利用を含めた合理的なプランで、壁量計算も実施しており、意匠、性能、機能が高いレベルでよくまとまった案でした。
この一ヶ月、本気で取り組んだ成果を受け止めて、会場の参加者も真剣に質問し、きちんと投票してくれます。
一年生の皆さんお疲れ様でした。何度か徹夜した人もいたと思います。今日はよく寝てください。
投票は6月3日15時まで。その日に代表設計者が決まります。
木造建築教員:松井匠