2021年自力建設「木立のこみち」涌井学長へお披露目
全国の自力建設ファンの皆様、お待たせしました。ついに自力建設が完成しました!
完成後の先日5月11日、本学の伝統行事である入山式の後、2021年自力建設「木立のこみち」の涌井学長へお披露目をしました。
以下は、お披露目の際の報告です。
「屋根付き自由通路」というテーマに対し、
・屋根付き通路の「木立の通路」、雨除けと木工の野外制作(グリーンウッドワークなど)活動ができる「木立の庇」、の2つの建物を建設したこと。
それら2つの建物を総称して「木立のこみち」としたこと。
・「木立の通路」「木立の庇」とも、アカデミーの雰囲気にマッチするように樹状柱の架構とし、極力細い部材(柱・梁・桁:105mm角、方杖:85mm角、65mm角)でシャープな建築を目指したこと。(日独グループディスカッション(ロッテンブルク連携デザインWS3))
・人の動線(通行)を考慮した柱配置としたことで、特にウッドラボの人の出入りや搬出の点を改善できたこと。
・「木立の庇」には、最大3つのタープを取り付け、日除けや雨に濡れない範囲を拡大して居心地の良い場を提供したこと、タープの設置や撤去を木工専攻の方々に管理してもらい、人数に応じてタープの設置数を1つにしたり、3つにしたりできること。
・格子状の架構にカウンターテーブルとスツールを設置し、憩える場としたこと、ホワイトボードを設置して屋外で授業ができること。
・夜は人感センサーで照明が点灯し、安全に通行できるようになったこと。
などを報告しました。
涌井学長からは、木造建築専攻クリエーター科の11名だけでなく、エンジニア科5名も参画し計16名で建設が行われたことに祝辞を述べられ、
既存の校舎に敬意を払ったデザインとなっていること、細い部材で構成しシャープな架構となっていること、半屋外空間(縁側のような)心地よい空間になっている点などを評価していただきました。学長は「皆は気づいてないかもしれないが、最も効力を発揮するのは翔楓祭の時だ」と指摘し、ここでさまざまな人が憩い・交流する良い場所づくりが出来ている、とお褒め頂きました。
以前はウッドラボ前は夜になると真っ暗でしたが、今は照明が付きとても良い雰囲気となっています。そのことにも触れて評価していただき、「夜はここでカフェやったら儲かるよな~」ともおっしゃられていました。
ディテールについては、昨年の自力建設のプロポーザル後、これから自力建設を進めていこうとするタイミングで報告をした際には、“樹状の方杖の接合部に金物が見えない工夫が必要”と指摘されていました。(自力建設2021 学長へのプレゼンテーション)
実施設計では構造用ビスを用い方杖の接合強度を担保したことを報告しましたが、ビス穴に埋め木を施しビス頭が見えないようにしていることや、勾配の低い屋根のデザイン、雨樋のデザインなどにも触れ、建物全体を通してすっきりと見せるさまざまな配慮がなされていることをお褒めいただきました。
個人的には「木立の通路」の「ラスボス差し」の難しい納まりをよくつくった、と褒めていただいたことがうれしかったです(3回失敗して4回目でようやく製作できた接合部です)。(自力建設2021「木立のこみち」刻み・仮組み編)
20分間という短い時間でのお披露目となりましたが、ご報告の機会をいただいたことに感謝致します。良い場が出来たな!と高い評価をいただけたような気がします。
気づけばもう2年生。昨年の5月は、今年の1年生のように、自力建設のプロポーザル発表に向け一所懸命に案を考えていました。1年で無事完成し、さっそく学内の皆さんにフル活用していただけていることが嬉しいです。季節は梅雨が近づき、暑い日差しの夏がやってきます。雨除け・日除けのタープが大活躍することを願っています。
クリエーター科 木造建築専攻 橋本剛