自力建設「木立のこみち」屋根野地板の製作
こんにちは。木造建築専攻の小島です。今回は屋根材製作のお話です。
今季の自力建設では大量の屋根野地板(仕上がり板厚30mm)が必要になります。自力建設で使う木材は、先輩が伐採したアカデミー演習林の木を、後輩が使います。限られた素材から大量の屋根材を確保するために、「幅はぎ」と「積層」、2種類の方法で板材を製作することになりました。
幅はぎ(板材を幅方向に接着すること)で作る幅広の板をアカデミーでは「ACパネル」(アカデミーパネル)と呼んでいます。「ACパネル」のほうが歩留まりは良いのですが、「積層パネル」には、薄い板や大きく曲がった素材からも大面積の板材を製作できるメリットがあります。
【ACパネルの製作】
まずはACパネル製作です。
① 乾燥させた40mm*140mm程度の素材の板を用意し、4面モルダーで反りと曲がりをとりながら、35mm*130mmまで削り揃えます。
② 削った4枚の板をはぎ合わせ、1体のACパネルを作ります。
出来上がった板の反りを抑えるため、隣り合う材の木表・木裏の向きが交互になるように並べて、板に番付を振り…
位置決めのため、ビスケットジョイント加工をします。
③ それらを並べて,一気にボンドを塗り、ビスケットを差し込み…
番付通りに積みかさねて…
4体セット(今回の場合)でプレス機に入れます。
④1~2時間プレスし、圧を抜いてから、1日ほど後に製材機で幅を整え、4面モルダーで表面を削ってACパネルの完成です。
「ACパネル」(幅はぎ)完成!
【積層パネルの製作】
次は積層パネルの製作です。
②モルダーで板の表裏の平行をだして、厚みや幅はバラバラのまま積層していきます。ここが積層パネルのメリットです。
油圧をかけるとボンドで材が滑りズレるので、プレス機の柱に材を押し当てながら圧着します。
③「積層パネル」完成!!
写真左側が「積層パネル」、右側が「ACパネル」(幅はぎ)です。
…
エンジニア科の助けも借りながら、なんとか大量の屋根材は確保できそうです。「ACパネル」と「積層パネル」の仕上がりの違いは、ぜひ完成した自力建設を見に来てご確認いただければ!
アカデミー内だけでも木材のストックとフローを考慮して建築をすることは本当に難しいです。
第21期建築専攻1年:小島 啓志