日独学生同士のプロジェクト発表(ロッテンブルク連携デザインWS2)
日独デザインワークショップの第2回が、10月29日の夕方(日本時間)に行われました。
前回は、教員によるミニレクチャーが中心でしたが、今回はお互いの学生が設計している計画案の発表です。
アカデミーのスクリーンにはHFRの教室映し出されています。
HFRの学生が開始時間が近づいてくると続々と教室に集まってきます。日本ではすでに薄暗いのにHFRの窓の外は朝の快晴で不思議な感じです。
手前には、アカデミーを卒業後、HFRに留学している学生の姿も。言葉に詰まった時のサポートをいただける心強い味方です。
最初に、デデリッヒ教授からドイツでの構造や木材の規制や考え方のミニレクチャーです。
ドイツ国内の地域毎に標高、屋根勾配における積雪荷重の考え方と、どのように対処しているかが、事例の木造建築とともに示されました。
また、建物高さの違いによる風圧の検討や、含水率による木材腐朽菌や虫害の規制などのミニレクチャーを受けました。
日本でも、同様の考え方があるため、図で説明されると理解が進みます。
さて、いよいよ学生発表に移ります。
まずはアカデミーからスタートです。
橋本棟梁による自力建設の検討状況の説明です。
今回からやり取りは全て英語で行います。
アカデミー側はサブに同時翻訳の画面を横に設置していて少し理解の手助けになりますが、HFRでは特に用意されていませんので、英語で上手く伝えないといけません。
慣れない英語で頑張って説明しています。
次に名和さんからこれまでの検討過程を4つにテーマに絞って説明していきます。流暢な英語で聞き取りやすいです。
予算や見え方に合わせて高さや通路幅の最適化を行ったり、モックアップを作成して部材断面を決めたりと、HFRの学生にも検討過程の様子と詳細なディテールのこだわりが伝わったのではと思います。
スライドも伝わりやすいように、一目で分かるように今回の発表用に新たにCGを作成しています。
これらのスライドは今回発表者ではなかった同級生の力作で、全員が協力して今回のプレゼンが出来上がっています。
最後に中島さんから各部の接合部についての説明です。
構造解析の状況を伝えてどのような変形がかかるかの検討事例を紹介しました。
接合部については日本の伝統的な仕口である「ほぞ」を紹介し、ドイツでもいろいろな接合部があるはずなので、これを機に情報交換をしましょうと締めくくっていました。
デデリッヒ教授から、この接合にビスは使用しているのかの質問(英語)が来て、中島さんから構想計算上必要な耐力を満たすためにビスも使用しているとの返事(英語)のやり取りがありました。
続いて、GFRの5つの学生グループからの計画案の発表です。
1案目は集成材を利用したアーチ状の構造躯体で空間を構成する案です。似通ったモジュール(前回のミニレクチャーが参考になる)を連続させています。
2案目は、柱や梁といった軸材料ではなくCLTなどの構造用面材を使用した空間です。これもモジュールの組み合わせで、空間を構成しています。
3案目はドーナツ状の空間です。様々な構造要素を組み合わせてそれぞれのゾーンを形作る意欲的な提案です。
4案目は楕円の屋根と床を持つ空間です。柱のピッチを6種類に変えることで空間に変化を作り出しています。
5案目は具体案はなく、コンセプトを詰めている段階といった内容で、文字を中心に考え方を整理していました。
それぞれに特徴ある計画がスタートしています。
HFRでは課題発表からまだ少ししか経っておらず、学生も計画が良いのかどうか悩んでいるとのこと。
そこでデデリッヒ教授からどの案が好きか、日本の学生に聞いてみたいということで気に入った案に挙手をしてみようということに。
どの案が日本の学生に興味を抱かせたかは・・・同票の4票で割れました。
次回の1カ月先までに、さらに検討して計画案を詰めていくことになりました。
さて、次回の開催までは1カ月、お互いプロジェクトを進めていくことになります。
9,000kmも離れた学校同士で、教室がつながっているかのようにやり取りができることに、時代の変化を感じます。
今まで以上にリアルとオンラインを上手く組み合わせて教育連携ができればと思います。
准教授 辻充孝