椅子づくりに使う「あの植物」を収穫!
暑い中、森林文化アカデミーの教員・学生・卒業生有志で美濃市内の休耕田へ。背の高いこの植物を収穫してきました!実はこれ、ヨーロッパで椅子の座面を編むのに用いられてきた植物なのです。
アカデミーのグリーンウッドワークの講座では、椅子の座面は布テープ、紙紐(ペーパーコード)、イグサ縄などで編んできましたが、より昔ながらの素材=植物の茎や樹皮などにも取り組みたいと思っていました。
この植物はオオフトイ(Schoenoplectus lacustris)。ヨーロッパ各地で使われています。ヨーロッパでは他にガマ(Typha lattifolia)も。スペインの「ゴッホの椅子」はガマです。フトイは茎を、ガマは葉を使うのですが、ガマの方が太く、ざっくりとした感じに仕上がります。切断面を見ると、どちらもやわらかい繊維が詰まっています。日本では他にシチトウ(Cyperus monophyllus Vahl)も使われます。
ところでこれ、アカデミーの同僚で里山の植物に詳しい柳沢さんに「座編みに使いたいんだけど、近くにないかな〜」と尋ねたら「あるよ」と言われ、地権者さんからも許可をいただいて、有志で収穫することになったもの。地権者さんによれば、20年以上も放置していた田んぼで、オオフトイは自然に繁殖したのだそうです。つまり地権者さんには何の価値もなかったものですが、私たちにとっては宝物。
今回は初めてなので、1平方メートルの面積を収穫。学校に持ち帰って柳沢さんの指導のもと、1本ずつ長さと直径を測りました。柳沢さんによれば全部で305本あり、平均の長さは約180cm、直径は約7mm。この量からどれぐらいの大きさの座面が編めるのか、これから試します。ゆくゆくは持続的に収穫して、椅子づくり講座ができるようにしたいなあ。
森林や植物に詳しい教員と、工芸に詳しい教員が一緒にいるのが森林文化アカデミーの強み。そして価値がないと思われているこうした資源に新しい価値を生み出せるのも森林文化アカデミーならではだと思っています。
久津輪 雅(木工・教授)