奈良吉野の梶本さんによる葉枯らしと別意味の『葉涸らし処理』
チェンソーを立木に突っ込み切りする『葉涸らし処理』、本日、奈良県吉野郡川上村から梶本修造さんにお越し頂き、クリエーター科林業専攻2年生とエンジニア科2年生の林業専攻生の学生が現場指導して頂きました。
本来はこうした技術は吉野材のような高品質・高価格の原木に処理すべきものでしょうが、こうした実習を通して、「伐採者が流通や製材などのことも考えて伐採する」ことを学生自身に気づいてもらう狙いもあります。
最終的には、これで乾燥できるわけではなく、乾燥は「葉枯らし乾燥」によってなされるのが大半です。その前処理として実施される突っ込み切りであり、こうした手間を掛けて材価に付加価値が付けば有効、付かなければ無効な処理となってしまします。
昨年も報告したこの処理(http://www.forest.ac.jp/academy-archives/%e7%ab%8b%e6%9c%a8%e3%81%ae%e3%81%be%e3%81%be%e4%b9%be%e7%87%a5%e3%81%95%e3%81%9b%e3%82%8b%e3%80%80%e6%a2%b6%e6%9c%ac%e5%bc%8f%e7%ab%8b%e6%9c%a8%e4%b9%be%e7%87%a5%e6%b3%95%e5%ae%9f%e8%b7%b5/)
最初に室内で一時間、吉野林業の特徴とこうした作業での注意点として、①幹の中心線の見方、②根の中心線の見方 などを学びました。
この作業は「チェンソー技術と言うより、眼で観察し、肌で感じるもの」と説明され、それを現場で実践です。
最初に梶本さんがチョークで印を付け、なぜここに印をつけるのかを説明され、続いてチェンソー操作の見本を見せて下さいました。
立木は一本一本違うため、どのように突っ込み切りするかのマニュアルは作れないとのこと、ただ理論的には・・・と語りながら、簡単そうにチェンソーを操られ、終了後は学生に再検証の説明をしてくださいました。
さて、学生の実践です。最初の内はチョークをつかって、山側の地際線、下側の本来の地際線、幹の中心線、切断する根の中心線に印を入れます。
作業としては幹の中心に一つ突っ込み、根二本または三本の中心を切断するよう突っ込み切りする。
幹のどこから根が始まって、目指すべき中心はどこか。突っ込んでいる内にチェンソーが中心からズレていっていないか?
チョークで根の位置の訂正、どこから樹皮が分かれているのかなどを、印をつけて再確認です。
今回は特別に半そでで作業しています。これはチェンソーの切粉の水分量を腕の上で感じる訓練です。
ときどき、中心線がズレる学生がいるので、その都度作業を止め再確認します。少し斜め上にガイドバーを向けて切り進める。 しっかり立木に正対し、腰も使って押し込むイメージで操作しました。
幹や根元には既に突っ込み切りした跡が見えます。幹や根の中心部までしっかり突っ込まないと効果が出ません。
誰しも地際の突っ込み切りは、土や石を切る心配があって、大胆にソーチェンを進められませんが、その都度梶本さんがアドバイスして的確に処理し、誰が処理した立木かも明記しました。
日下部君は日ごろお父さんの現場に行っているだけあって、大胆でありながらスムーズにチェンソー操作していました。
下のスギは幹に一か所と根際に三か所の突っ込み切りがなされています。
この立木は梅雨明けごろに伐採収穫するものと、『葉枯らし』させるものに分けて、最終的に製材品として比較検討する予定です。