街と繋がる森林資源:森林空間利用実習1
こんにちは、林業専攻2年の森と1年の米澤が報告いたします。
「森林空間利用実習1」の2日目です。1泊2日の授業を通して、古川林業さんの森林サービス産業について学んでいます。森林サービス産業とは何かについては、1日目のブログをご参照ください。
本日1つ目のプログラムは郡上八幡にある “みなしごねこシェルター” 「ねこのま」さんと古川林業さんのコラボワークショップに少し参加。ねこのまさんには、40cm×40cm の木箱を使って作品の展示や販売などができる「木箱オーナー制度」があります。
木箱に使われているのは、古川林業の山林で育ち収穫・製材されたスギです。スギといえば、少し赤みがかった色が一般的で黒色のものは、まだ乾燥の課題やイメージもあって販路が確立していません。ところが使う場面によっては魅力が引き立ちます。乾燥前はもっと色が濃く、白黒のコントラストがかっこよかったそうです。
古川林業では市場では評価されにくい材も製材しており、土場には様々な木が置かれています。ここから木の事や林業の事を参加者に知ってもらいます。普段触れる事の少ない林業に参加者は興味津々です。
他にも参加者に振る舞った飲み物(後半で紹介します)に使われているスギや、郡上踊りの下駄に使われるヒノキについても紹介がありました。WS参加者も我々も「この樹がアレになるのか!」とイメージできてワクワクです。
その後我々は古川林業さんの森林を見学しました。それぞれの場所で、色んな取組みに挑戦されています。
↑ここはスギを育てている樹下でも何か育てられないか試しているところ
香りの良いクロモジや、花屋で需要があるサカキ・ヒサカキなどを残しています。これらがお金になればお得そうですが、良いことばかりでもありません。森の中で作業したい時、これらは邪魔になります。樹木に対する愛が求められますね。
午後は郡上八幡へ移動
「nora」さんで昼食をいただきました。
昼食をとっていると、きのこ狩りから戻った店長・本山さんともお会いできました
本山さんによると、天然きのこを商売にするのは難しいとのこと。自然が相手なので、探しに行けば必ず見つけられるわけではありません。その人件費や燃料費を考えると、スーパーで売られているキノコの何十倍もの値段をつける必要があります。
昼食後は、古川さんのクロモジやスギを使って飲み物を製造している「パチ印.」さんの工場も訪問しました。工場といっても、民家のような外見の小さなところです。
その飲み物を口に近づけた時、まず何が香って、口に含むとどんな味や香りが来て、最後にどんな後味が残るのか…。全ての材料に役割があることをお聞きしました。それを意識して飲むと、ねらい通りの構成になっています。
現在は古川林業さんと、スギ葉の香りについて試行錯誤を重ねているそうです。最初にスギ葉から良い香りが採れたため再びやってみると、香りは同じではありませんでした。その違いを生んでいるのが、葉齢なのか、木自体の樹齢なのか、葉を採る時期なのか、葉の発酵程度なのか… 考えられる要素はいくつもあります。解明は途方もない作業です。それでも私は、「なんか楽しそう…」と思ってしまいました。
そんなパチ印.さんのコンセプトは「郡上を飲む」今は欠かせない外国産の香辛料も、郡上にあるもので置き換えていくのが理想です。私は普段、「いま飲んでいるこれは一体何者なのだろう…」と思うことがたまにあります。ラベルには正体不明のカタカナが並んでいたりします。それが、「これとこれとこれで出来てます」と見せてもらえたら、なんともスッキリします。しかもそれらが「ここでとれました」と示してもらえたら、何なら自分で採取して作ることができたら… 最高です。
2日間を通じて感じたのは、関わるみなさんが地域のこと、そしてそこにある森林のことを大事にしているということです。「森林サービス産業」は、林業だけでなく地域全体で取り組んでこそ意味があるように思いました。
米澤さんによる授業のレポートでした
担当:新津裕(YUTA)