サマーセミナー2023報告④
【サマーセミナー4日目】9月21日(木)
サマーセミナー4日目は、今回のセミナーの一番の目玉である、ドイツの林業作業現場の視察をしました。サマーセミナー後半のブログは、林業専攻の小林が投稿します。
今回の視察では、2箇所の作業現場を見せていただきました。
巨大な高性能林業機械を駆使したダイナミックな作業は圧巻でした。
ウインチ付きグラップル
まず一つ目の現場は、鉄道の線路が斜面下に走っている現場で、絶対に下に岩や木を落としてはいけない対策をとっている作業現場です。
安全対策を講じながら、手際良く高性能林業機械とチェンソーで伐倒をされていました。
また、林道脇も一定の幅が確保されており、そこが丸太置き場として活用されていました。ドイツの高性能林業機械は、日本の機械よりも大きくてパワーが強いものを使っているので、長い木を一気に引っ張ってきて、豪快に運んでいました。
日本では3〜6mで玉切りして土場に置いておくことが一般的ですが、ドイツでは10m以上の長さで管理しているようでした。そのため、林道幅も広く、トラックで長いまま運ぶので、効率的で生産性の高い林業が実現できているのだと感じました。
また、この並べられた丸太は、ただ置いてあるだけではなく、岩や伐った木材が斜面下に落下しないようストッパーとしても機能させていると伺いました。安全対策も、無駄なく効率的に実施されている印象を受けました。
大きな岩がゴロゴロしていて危険な現場
二つ目の作業現場は、キクイムシの被害を受けた森で、被害木の伐採現場です。こちらではクローラー式のハーベスタを使用していました。
クローラー式ハーベスタ
ドイツでは、地球温暖化の影響で降水量が減少し、キクイムシの被害が拡大しているようです。日本でもナラ枯れやマツ枯れ被害が里山で多発していますが、ドイツではもっと酷い状況のようです。
キクイムシの被害を受けた木材は、低価格での取引となってしまうため、頭を悩まされているようです。キクイムシの被害は、日本と同じように太い材(15cm以上)に被害が多いらしく、森の中の木をよく観察すると、ヤニが出ている木がありました。
キクイムシによる加害でヤニが出ている木
しかし、樹下ではモミ・トウヒの稚樹がしっかりと生えており、次世代の更新は問題なさそうに見えました。モミ・トウヒは、耐陰性が高い樹種なので、暗い樹下でも力強く生きていました。
以上、サマーセミナー4日目の林業作業現場の報告でした。
クリエーター科 一年生 小林建太