サマーセミナー2023報告③
【サマーセミナー3日目】9月20日(水)
3日目はSchopflocher Alb自然保護センターからスタートです。
この一帯は貴重な石灰岩地形でユネスコの世界的なジオパークに認定されています。
今日はその地形の成り立ちと人間の土地利用から生まれた歴史的景観について学びます。
自然保護センター入口の案内とパンフレット
周辺地区の地下構造の模型
センターの建物には自然保護区内の地形や地質・生き物を模型やパネル、実物などの豊富な展示物によって説明してくれます(ただし全てドイツ語ですが)。
羊がつくる風景:ジュニパーヒース(左)ブナの森の歌い手:ズアオアトリ、ミソサザイ、ウグイス(右)
地下の石灰岩洞窟の天井崩壊による陥没穴と表面岩石の溶食によるドリーネ
カンラン石:地球のマントルで最も一般的な鉱物
施設内の展示とお土産コーナーを後にして、保護区へ出発します。
先ほどの写真の赤丸を付けたものの拡大がこちら(保護区が始まることを示しています)
羊と山羊の放牧によってこれらの景観が保たれてきました。
近年では商業的に有利な牛の放牧がメインになり森林化がすすみ問題になっているとのこと。
(牛はトゲのある植物を食べないため、樹木が育ち森になるそうです)
要所ごとにガイドの方が説明をしてくれます(もちろんドイツ語なので日本人の通訳さんが頼もしい)。向かって右の石碑はこの自然保護区の設立に尽力した医学博士Valentin Salzmannの石碑
近くの農場が経営するこちらのカフェで昼食(カボチャのスープとリンゴジュースのソーダ割、パン)をいただきました。
殆どの食材を自前の農場で有機農法にこだわって作られているとのこと。
午後はバスで移動し、Bissingenにある果樹園です。
説明をしていただいたビッシンゲン果樹園芸協会の方によると、果樹園(リンゴ・ナシ)の風景は日本でいうところの水田の風景と同じような意味があるとのこと。 単なる作物ではなく、地域の貴重な食物になり地域のコミュニティの中心にあったものだそうです。 しかし若い人たちが果樹園に興味を示さなくなり手入れが不足し、若木も不足しているため昔ながらの風景が危機にあるとのことです。
中山間地域での悩みは案外グローバルで共通なのかもしれないと思わされました。
たくさんの実をつけるリンゴの木
いくつものヤドリギに寄生されたリンゴの木(養分を吸われ枯れてしまう木も)
手入れ不足により発見が遅れると果樹へのダメージが大きくなります。
果樹園の上部から見下ろす町並
果樹園を保つための羊の放牧(囲いで必要な部分のみに行います)
明日からは報告者が変わります!
報告:クリエーター科1年 瀬下 真弘