2023地域見学実習初日
エンジニア科1年生は春と夏に二回,宿泊実習があります。春の宿泊実習では,学内に宿泊して演習林で活動するのですが,夏の宿泊実習(地域見学実習)では泊りがけで中津川市加子母に出かけ,林業地や木材市場,製材工場,地域の森林などを見学します。
実はこの地域見学実習,ホントは9月に実施する予定でした。しかし,急遽発生してしまったコロナウイルスによる学級閉鎖で延期となり,今回11月にやっと実施することができました。
初日の今日は,朝7時にアカデミーを出発しました。まずは宿泊地の「かしもふれあいのやかた」で,研修内容や中津川市加子母の森林経営の特徴についての説明を受けました。解説していただいたのは加子母森林組合の組合長,細川さんです。
その後,森林作業の現場を見学しました。現場に行く途中で,森林動物の痕跡や罠のかけ方などについても説明してもらいました。
加子母の森づくりの特徴の一つは複層林です。そのため,樹冠の合間を縫ってワイヤも使いつつ,器用に木を倒していく作業を見学させてもらいました。また,この写真にも,細い木と太い木が映り込んでいるのが見て取れます。ある程度択伐して樹冠が空いたら,その下に苗を植栽するそうです。また,林縁でヒノキ実生が天然更新ている場合には,それらのうち形質の良いものを残して育てていくそうです。なかなか複層林施業をしている現場を目にすることがないので,とても貴重な機会となりました。
また,細川組合長は独自のルートで多方面に営業活動を行っており,その結果,普通は捨ててしまうような部位も様々なルートで販売できているとのことでした。
お昼を開放的なキャンプサイトで食べました。加子母森林組合が整備したこの場所も,普段から自由に使うことができるそうです。
昼食後,加子母森林組合の木材市場に行きました。ここで,市場を管理している纐纈さんと,この市場から木材を仕入れている梅田製材の梅田社長にお話をお聞きしました。ちょうと市の前ということで,たくさんの木材が集まっていて,様々な状態の材を見ることができたのは幸運でした。
どういうふうに入ってきた材を仕分けているのかや,そういう材が売れやすくて売れにくいのか,枝虫(上)や水割れ(下)などの材の欠点の見分け方についても教えてもらいました。
その後,梅田製材に移動し,丸太を柱に挽く様子を見学させてもらいました。丸太から柱材や板材にするときの歩留まりは50%程度だそうで。しかし,樹皮を含めた残りの部分も他業者に売ったり,自社の乾燥機のボイラの燃料にしたりして,全て活用できているとのことでした。ちなみに梅田社長は林短時代の本学のOBです。
本日の最後の見学先は山守資料館です。ここでは山守の子孫である内木さんから,江戸時代から続く加子母周辺の森林利用の歴史について講義してもらいました。この資料館は内木さんの所有する古民家で,講義はもちろんのこと,これを見ることにもとても価値があります。
見学後,宿泊先の「かしもふれあいのやかた」で,夕食も兼ねて地元の林業事業体の職員らと懇親会を行いました。この懇親会には本学の卒業生も参加してくれました。いくつかの林業事業体は,企業説明会にもきていただいていますが,ざっくばらんな雰囲気のもとで,その時とはまた違ったお話を聞くことができ,とても良い機会となりました。明日のレポートもお楽しみに。
准教授:玉木