活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2023年10月16日(月)

エンジニア科「測量」 最終課題:24期新入生の植栽現場を準備せよ!!

エンジニア科1年生による授業「測量」が終了しました。

4日間にわたる授業の様子を報告します。

 

まず初日、「測量」の目的は、土地の形状を明らかにし、その土地の「今」を観て将来を考えること。

それを、誕生日のケーキカットに必要な要素を考えることから始まりましたね。様々な意見交換の末に出てきた答えは、家族みんなの笑顔でしたが、関係者の笑顔のために、正確な現状を捉える。そのための「測量」。そう考えると、「林業分野」に進む学生はもちろん、「林産業分野」を目指す学生にとっても「測量」で学ぶ知識・技術は大いに武器になりそうですね。

測量の目的は、その対象の「今」から将来の姿を考えること

けれど、いきなり測量といっても、イメージがわきません。そこで、少しコンパスなどに触れた後、あの伊能忠敬さんが全国を歩き回って日本地図を作った映画を観ました。測量や作図のシーンをリアルに観ることができ、同時に、過去の偉業(測量)の先に現在があることも知ることができました。

映画で測量を観る

映画の中の測量機器は、江戸時代のものですが、驚いたことに、授業で使う最初の測量道具は、江戸時代のそれと似ていましたね。

 

イメージをしっかり持った後は、実際に使ってみます。

まずは設置トレーニング!!対物レンズの先は、イノシシ、シカ、ウサギ、クマ(の絵)・・・様々なターゲットを目がけて、何度も何度も正確に設置できるまで練習しました。おかげで、全員が素早くポケットコンパスを設置できるようになりました。デジタル化が進んでいるとはいえ、まだまだ、現場で活躍している道具。全員そろって、設置テスト合格です!!

基準点にドングリを落とし、何度もターゲット目がけてコンパスを設置する様子

何度も練習する様子

その後は、グランドに出て、コンパスマン、ポールマン、野帳マンに分かれて、簡易測量を練習。コンパスの設置はお手の物ですが、次測点の設置や、見取り図のメモの仕方など、ただ方位や距離を測定するだけでなく、測量ミスを防ぐためのコツを学んだ1~2日目でした。チームワークが大切だと分かってきましたね。

今度はチーム測量

一人作業より気を付けるポイントが増えました

3日目は測量演習プログラム。

少しずつ測点数が増え、形状も複雑になってきました。この日は、現地にあるものを測量するだけでなく、課題になった形状を現地に再現する方法も学びましたね。

久しぶりの三角関数は、どうでしたか?教員と目の合わない学生が少なくなかったのは気のせいではないでしょう(笑)

ですが、今はスマホの計算機や“斜キョリ”“水平キョリ”の変換サイトで、あっという間に計算できます。関数が苦手な人は、検索サイトを見つけるキーワードを覚えて武器の一つにしてしまいましょう。

演習プログラムを次々こなしていく学生たち

最初は恐る恐る触っていた測量機器ですが少し余裕が出てきました いっよ!!リンボ~

慣れてきたところで、道具が変わり・・・アナログからデジタルコンパスへ!!

言葉も「接眼レンズ」とか「磁針止め」から、SlopeDistance⁉、キャリブレーション⁉・・・など聞きなれない言葉に変り戸惑いましたね。

ですが、若者ってすごい。キャリブレーション操作も難なく覚え、すぐに最後の演習プログラムまで次々とこなしていきました。

ただ、既定の精度をクリアするまで「帰れま10」では、再測量を3度した班もありました。再測量を繰り返す中、なぜ間違えるのか?“復唱”の大切さを実感できました。そして、合言葉は「慌てない、慌てない」。

現場で測量する際の、とても大事なおまじないです。

デジタルコンパスに慣れていく学生の様子

4日目、いよいよ測量の舞台は演習林。

課題は、「24期新入生の植栽現場を準備せよ!!」でした。

最終日の現場は、傾斜もきつい本格的な山での測量。しかも、この日も測量精度が規定の値を下回ったら再測量💦

否応もなく、全員の気合が入ります。ですが、焦りは禁物。ですので、目標精度と目標タイムのマトリクス表に一人一人のモチベーションを位置づけしてから、最終日の班編成を決定して、、、いざ出発!!

最終日は、それぞれの習熟度(自己判断)を目安に班編成

起点付近でキャリブレーションをする様子

ぞくぞくと測量に向かい、今日は心なしか全員静か

静かな山の中、数値を復唱する声が山に響きました

測量後は、情報処理室に戻って、ドキドキの製図。

3日目の製図は手書きでしたが、最終日の製図はエクセルです。みんなザワザワしながら測量成果を入力し、測量結果を発表。♪ダダダダダダダダダダ♬  ダッダン!!

1/305、1/181、1/490、1/161、1/151 なんと全班、一発でクリア⁉

お陰で、2度目の山登りをせずに済みました。そして、おまけで用意していたカリキュラム、測量結果をQGISへ落とし込む作業まで、全員で到着できました。

GISへ測量結果を反映させている様子。若い彼らの吸収力、心強い

さて、今回受講した「測量」、測量に慣れ、確かな技術が身に付きましたか?最初は地図上の“北”も“尾根”や“谷”もわからなかった状態から、自分たちで道具を準備し、普通に測量できるようになりました。最後にはGISに測量結果を乗せ、レイアウトするところまでたどり着き、若く素直な吸収力に、少し驚かされました。

そして最後、来春入学の24期生の植栽予定地の準備を進めることが出来ました。

また、この授業のすぐ後には、別授業「測樹」で演習林内にプロットを設置したり、木の高さを測ったりします。操作方法など、忘れないうちにどんどん反復練習し、確かな技術を身につけて卒業していきましょう。

おまじないは、「慌てない、慌てない」そして「リズムよく」ですっ。

今後の、皆さんの成長と活躍が楽しみです。

 

報告:林業専攻 塩田(しお)