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2024年08月20日(火)

住友林業様の若手社員研修会を実施

住友林業様の若手社員が集まり、研修会を実施しました。住友林業様と言えば、ハウスメーカーとして有名ですが、日本に所有する山林の規模では3本の指に入る大森林所有者です。今回研修に集まったのは、その国内の森林の管理や、海外の森林資源の管理、木質バイオマス事業など、森林資源を活用した事業を行う資源環境事業本部の社員の方々です。

 

研修は3日間で伐採から丸太に至るまでの実際の作業の流れや、収支計算などを学びました。講師は新津先生と杉本が務めました。

 

1日目は林業の現状と課題、そして安全管理について学んでもらいました。

いくら安全装備を装着していても、適切に装備していなければ身を守ることはできません。また、身近に潜む「ヒヤリハット」を見逃さないことも安全管理上大切なことです。

フィールドワークでは感覚について

五感を使ったお題では、同じお題でも人によってとらえ方が異なる事を感じてもらいました。つまり、同じ言葉でも人によってとらえ方が異なる事から、コミュニケーションをしっかりとらなければ正しく伝わりません。

新津先生からこんなお題が。チームごとに話し合いながら選木をしてもらいました。

 

2日目は、アカデミーの演習林で実際に立木を伐採しながら必要な安全装備や伐採方法について体験してもらいました。若手社員とはいえ、海外森林の管理や、住宅営業などを経験された方もおられるので、伐採作業のみならず、資源量の測り方、売り上げの見積もり方法、枝虫や獣害など地域事情も含めてお話させて頂きました。

猛暑日でしたので、立っているだけで汗が出てきます。そんな中熱心に、メモを取りながら学んでおられました。

 

チェンソーの特別教育は修了していないため、ノコとヨキを使用しての受け口、追い口作成です。チェンソーと比較して時間はかかりますが、ツルの幅や高さ、受け口を作成した後の方向のずれなどを慎重にチェックしたり、追い口を入れてから徐々に木が不安定になってくる様を見たりすることで、伐採作業の危険性や必要なスキルについて学んで頂きました

 

受け口の方向のずれを計測している様子です

 

倒した後は採材して、出荷先やそれぞれに求める品質についてお伝えしました。

採材の規格については、地域によって異なります。ましてや海外の森林となれば用途もまったく異なります。海外の事情を知ることができて、とても面白かったです。

 

伐採、集材、造材、運搬に至るまでの素材生産の流れを見て頂きました。日本の林業現場でボトルネックになることが多い集材作業ですが、グラップルによる直接集材、スイングヤーダ、タワーヤーダ、集材機など集材距離に応じていろいろな手段があります。アカデミーではすべての集材方法を見ることができるため、一つずつ見て頂きました。

スイングヤーダは演習林で架設していなかったので、テクニカルグランドで簡易的に架設して、索張りを見て頂きました。

 

最終日は林業の収支を考えるというテーマで、会社ゲームを行いました。一人ひとりが経営者となり素材生産会社を経営するというシミュレーションゲームです。ゲームの後に会社として利益出すポイントや、森林経営全体として考えるべき課題などを振り返りました。

今回は各会社が皆伐作業を請け負い、入札により仕事が確保できるか否かを決めるというゲームを行いました。そもそも入札単価が低すぎて採算取れなかったり、確保した仕事量が少なく大赤字になったり…計画通り仕事を確保して黒字になる人も。

 

事業の内容が多岐にわたる住友林業様ですが、大森林所有者でもあり、大手ハウスメーカーという木材ユーザーでもあります。その社員の方々と将来の森林について意見交換ができ、とてもいい機会となりました。

3日間にわたり、研修に参加して頂きありがとうございました。

 

林業専攻 杉本