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2024年05月21日(火)

木材生産を災害につなげないために

クリエーター科の林業専攻2年生の授業「木材生産システムの応用」です。今日のテーマは「林業と災害リスク」です。講師は森林研究所の和多田研究員と臼田研究員です。

 

林業をする上であってはならないことは、木材生産が引き金となり山地災害を起こすこと。特に作業道や林道など、路網の計画や施工に問題があると、斜面崩壊を発生させ、最悪の場合は土石流として下流に被害を与えてしまいます。

人命に関わることになるので、おろそかにしないようにという冒頭メッセージがありました。

 

最近は皆伐を進めて再造林をするという動きも増えていますが、皆伐の増加は山地の崩壊リスクを増加させます。明治期や戦時中に遡ると過剰な森林伐採が、山地災害を引き起こしてきた歴史があります。災害を発生させると損害賠償を請求される可能性もあり、災害リスクをしっかり検討した上で森林施業を行うことが必要です。

 

後半は現地での実習です。災害リスクを地形、地質といった大きな視点と、生えているシダや地衣類の種類といった小さな視点とを合わせながら検討していきます。

 

現地実習を始まる前に、まずは心得から説明して頂きました。ただ漫然と現場を見るだけでは、何も見えてきません。「観る(観察する、評価する)」ことも大事です。「現場には必ず疑問への答えがある。現場ではこれらに気づく、見逃さないことが大切」との心得を伝えて頂きました。

 

斜面崩壊につながる条件は、「急傾斜」「流れる土がある」「土を流す水がある」です。その条件に当てはまるかどうか、現地を観察していきます。水分が多いところに生える植物、シダの種類、また植物の生長具合を見て崩壊につながる条件が揃っているかを観察していきます。

山にはいろんなヒントが隠されています。そのヒントを見極めるための知識、観察力が必要です。

災害リスクを評価するためには、地質や地形に関する知識、植物に関する知識、それぞれの知識を踏まえて総合的に考えられる判断力が必要です。一日では習得できるものではないので、今日教えて頂いたことをもとに継続的に学んでいただきたいと思います。

 

林業専攻 杉本