林業×ITハッカソン 架線集材を掘り下げる!
NPO法人 森とITとの共催で林業×ITハッカソン@森林文化アカデミーが開催されました。
今年のテーマは「林業架線ハッカソン」ということで、林業の中でもディープのところをテーマにしたハッカソンとなりました。
今年はITを学ぶ学校の学生さんがたくさん参加してくれました。
集材機を使った架線は、索張りに手間がかかることから敬遠されていましたが、道が入らないような急傾斜地などでの集材方法としては、必要な技術です。送電線業界でも共通する技術が使われていて、同じく技術継承や効率化が課題になっているとのこと。なんとか架線に関する課題をクリアできないかということで、今回のテーマを設定しました。
フィールドワークでは、演習林で先日張り上げたダブルエンドレスの実演しました。
事前に索張り方法をテキストで伝えていますが、エンドレス索、先柱、元柱、等々、専門用語の羅列で初めての人には何がなんだか…
教室に戻り、模型の集材機を使って実演です。張り方の手順、操作方法、どこに注意しなければいけないのか、どんな危険があるのか、現場の縮小版で実演です。
恒例のハッカソンタイムです。4班に分かれて2日間かけてアイディアをブラッシュアップ&プロトタイプ作成です。
そして出来上がったのは…
架線版ボードゲームの「索張りの達人」
架線の難しさや危険について教育するツールが欲しいという林業会社の課題と、安全やコストについて常に考えないといけない林業のリアルを林業の知らない人にも分かりやすく伝えたいという課題をボードゲームにすることで解決しました。
マニアにはたまらないコンセプト食堂の「架線食堂」
架線の面白さを一般の人にも体験できるようコンセプト食堂の提案です。メニューを決めると自分で集材機を使って自分の席まで運ばないといけません(笑)
ショッピングモールでUFOキャッチャー「ワイワイヤー」
架線関係の技術者が林業だけではなく送電線業界も含めて少なくなり、技術の継承が課題になっている現状を踏まえ、なんと身近に架線を体験できるというアイディアを形にしたチームです。集材機の模型で実演したときも、UFOキャッチャーみたい!ということで、とっても楽しんでもらえました。林業側からすると、通常の仕事でも、異なる分野からすると面白く見えるということを改めて感じました。
グラップル付きの油圧型集材機が販売されていますが、将来的には遠隔で操作することが期待されています。ショッピングモールで模型ではなくリアルな現場の集材を体験してもらうことが可能になるかもしれません。
ヒヤリハットや危険を共有「森林版現場猫クソコラbot」
現場猫。そんなものがあるんですね…知らなかったです。
Lineで簡単に写真と現場猫キャラを組み合わせて、危険個所を共有するという仕組みです。リスクアセスメントや作業日誌でも危険個所の共有していますが、なかなか紙ベースだと共有しにくく、形式だけに陥りがちです。若い世代はスマホを使っていろんなことを共有する時代です。そんな時代に合わせてLineでの共有ツールを作成してくれました。この短期間で作成してすでに運用中です。すごい!
建設現場でも労働災害防止を啓発するためのキャラクターとして使われています。林野庁でも活用されています。
架線集材という林業の中でもコアなテーマを扱い、どういう結果になるかどきどきしながらのハッカソンでしたが、アイディアが形になり、今後さらにブラッシュアップさせて頂きたいものばかりです。架線という急傾斜地が広がる日本には欠かせない技術を今後発展させるべく取り組んでいきたいです。
参加していただいた皆様、こんなにもディープなテーマを掘り下げていただき大変ありがとうございました。
林業専攻 杉本