パーマカルチャーの現場から学ぶ&里山キャンパスプロジェクト 長野&静岡合宿
「森から始まる持続可能な暮らしを里山文化、森林文化の理念と技術を参考にデザインする」そんな大きなテーマをもとに人づくり、空間づくり、環境づくりをしていく人を養成する森林環境教育専攻。
新1年生6名を迎え、1、2年生合同(学生10名)でまずはその実践例を体感しに行こう!ということで、長野県根羽村で1年半のテント生活から始めた山地酪農を始め、森林空間の可能性をユニークな方法で社会化&経済化していくことに挑戦し続けている「ハッピーマウンテン」の幸山さん、
そして二日目には長野県阿智村で村営の「せいなの森キャンプ場」を運営され、さらに偶然なことに!?我が森林環境教育のプロジェクトと全く同じ名前の「里山キャンパス」という施設(元農産物加工所)を展開されている二川ご夫妻(最初の出会いもアカデミーの山の中で意気投合というこれまた偶然な感じでした。いや必然かも)、
そして最終日三日目には、静岡県浜松市でパーマカルチャーの理念をもとに「フォレストガーデン」という素敵な空間をデザインされ、入門講座だけでなく、朝活プログラムや地域の人々の居場所を創造しているパーマカルチャーデザインラボの大村じゅんくん&川村わかなちゃんを訪ねました。
2泊3日のめちゃくちゃ濃くて超刺激的な出会いと体験を通して学生たちは、それぞれの今後の道についての大きな足がかりを掴んでいたようです。そんな合宿の様子を1年生の「かびごん」こと山本佳穂さんが報告してくれたので以下にご紹介します。
なんちゃって先生 萩原ナバ裕作
<ここから 山本佳穂さんレポート>
ハッピーマウンテン
まず伺ったのはハッピーマウンテン。ここには20haの森が広がっており、牛さんたちが山に放牧されています。広すぎて人間だけでは手の届きにくい森の管理を家畜とともに行う、林間放牧・山地酪農が実践されています。
初日には、雨で崩れた林道の整備のお手伝いをして、翌日にはハッピーマウンテンの説明もかねて、代表の幸山さんにお話を伺いました。
私が一番印象に残っているのは、ハッピーマウンテンが森の循環に溶け込んでいるということです。
「最初は笹しか生えていなかった場所に牛が放牧されることで、牛が笹を食べ、草たちが多様になり、昆虫が来て、鳥が来て、、、みんなが生きられる、みんなが幸せでいられる環境になったのでは」と幸山さん。
またハッピーマウンテンでは、植えることはせず幸山さんが残すものと切るものを選んでデザインされています。あくまで森が動くままにという印象を受けました。
そして鶏を放し飼いすることのデメリットを伺った際も、「ひよこをテンに食べられてしまうこと、でもハンティングするだけじゃなくてされる側でもありたい。」とのこと。
深い。面白い。
森に人間がお邪魔している訳でもなく、人間が操ろうとするわけでもなく、人・牛・木、そこにいるみんながありのまま、心地良いように関わりあって変化し続けていく。優しくて、どの立場にも違和感のない考え方だと思います。
そんな立ち位置で、見方で、私もこれから森と関わっていきたいと思いました。
里山キャンパス&せいなの森キャンプ場
二日目に伺ったのは、里山キャンパス&せいなの森キャンプ場。広大な土地と施設を持つ指定管理施設でありながらも、羊さんがいたり自家製酵母の美味しいパンを作っていたりと、様々な取り組みを行っているキャンプ場です。
私たちは敷地の一角にある、エディブルガーデンの柵作りのお手伝いをしました。釘やねじなど人工物は使わずに、柵(しがらみ)を作るというもの。その材料には、地域のおいちゃんたちが切ってくれたベニマンサクを使いました。
最後には柵の入口にアーチと木で編まれた扉まで付いて、より素敵な空間になったのではと思います。終わった後はみんなでピザパーティーをしました!
スタッフさんの誕生日が当日だったこともありみんなでお祝い!おめでとう~!
次の日には、せいなの森のキャンプ場敷地を案内していただきながら、この施設の可能性を探る、アイデア出しをしました。
森の中にあって広くて、且つ施設も充実したこの場所。オフシーズンに学生で企画したイベントもやりたいなあ、という声も出ました。
滞在中、スタッフの皆さんの優しさをひしひしと感じ、また奥さんあやかさんのワイルドでおおらかな笑い声に心惹かれる時間でした。話せば話すほど好きになる!また行きたい!そんな素敵な場所でした。
フォレストガーデン
最終日に伺ったのは、フォレストガーデン。浜松市の郊外でパーマカルチャーの考えをもとにお庭造りや畑作りが行われています。
ついてチェックインしてからは、管理をされているじゅんさんとわかなさんから、ここで大切にしていること、パーマカルチャーとはのお話を聞いて、敷地とその周辺の自然環境を見ながら回りました。
なぜこの木はここで生えているのか、この葉っぱはこんな日陰で増えているのか、自然すべてに理由があって、ともに影響しながら生きていることを、解説を聞きながら回ることで強く体感しました。
そして、お二人が作られているフォレストガーデンも同様に、木々たちが影響しあいながらもより良く生きていけるようにデザインされています。
お二人に出会うまで私は、パーマカルチャーは難しくて複雑で、壮大なものだと思っていました。考え方は理解できても何をしたらパーマカルチャーなんだろうと思っていたのが正直なところです。
だけど本当はとてもシンプルで、人と人が対話するように、人が自然のことを知りたいと思って関わる姿勢。そして人も木もみんなが心地よくいられる場づくりこそがパーマカルチャーなのだと感じ、私はすごく腑に落ちました。
自然と関わるうえで、悩むことは今までたくさんありました。そんなときの考え方、道具の一つとしてのパーマカルチャー。肩ひじ張らず、負担に思わずに、これから日々実践していきたいと思います。
まとめ
人間がそこで暮らすこと。それだけで少なからず生態系に影響があるけど、自然の循環に寄り添いながら、牛も人も鶏も木も、花も草も鳥も、みんなで幸せになれる。
人と自然が共生することで、みんなでより豊かになることは大いに可能なのだと実感した3日間でした。
改めて、ハッピーマウンテンの幸山さん&みっちー、せいなの森の二川ご夫妻&スタッフのみなさん、フォレストガーデンのじゅんさん&わかなさん。
沢山の学びと幸せな時間をありがとうございました!!!!!
山本佳穂(かびごん)