森林から木材、暮らしへ(森林環境教育編)
<2024.4.17> 2024年、新学年がスタートしました。
「森林から木材、暮らしへ」は、入学したばかりのクリエーター科1年生が、アカデミーの4つの専攻での学びと、それぞれの教員を知る共通授業です。4日間にわたり、それぞれの専攻を紹介します。
最終日は、森林環境教育専攻でした。翌日から始まる「アウトドア・チーム・ビルディング」も森林環境教育の授業なので、今年は半日にぎゅっと濃縮して、専攻の紹介をしました。
専攻の4人の教員がそれぞれ自身の自己紹介を兼ねて、プログラムを実施。まずは萩原・ナバ・裕作先生、おなじみナバさんから全体説明。
森林総合教育センター「morinos(モリノス)」の施設紹介のあと、「森林環境教育は体験から学びます」と棒をつかったアクティビティ。五感を使うものや、身体尺の感覚を確認、ペアワークやグループワークなど、シンプルな自然素材を使って様々なプログラムを創ることができることを体験してもらいました。
morinosの「はだしのトレイル」も体感。「久々に裸足になった!」と、意外と?喜んで裸足になってはしゃぐ大人が多かったです。
続いては、植物生態学が専門の柳沢先生からのお題。
「1メートル四方にたくさんの植物を入れたチームが勝ち!」
4つのチームに分かれ、それぞれ紐で1メートル四方の枠をつくります。テクニカルグラウンドのいろいろなところで枠に入れながら、小さな植物を見つけていきます。
タイムアップとなり、確認です。
今回一番多かったチームでは、1メートル四方で22種類の植物がありました。
「どこが植物が多かったでしょう?日陰など、周りの環境も影響しています。
そして草刈りなど人の手が関わると、多様性が高くなります」と柳沢先生。
「現代では、人との関わりが少なくなったので、種類が減っています」
実際に自分たちで小さな植物を見つけてみることで、人の暮らしと植物の多様性が密接に関係していることを意識し始めていたようでした。
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移動しながら、途中にある堆肥場に立ち寄り。落ち葉堆肥と、「馬搬・馬耕」の授業でアカデミーに来た馬の糞の、2つの堆肥場があります。
ナバさんから
「里山にあたりまえにあった、資源の循環です。学生が自ら学んで、こどもたちに伝える。体験からしかわからない学びの場をつくっています」
と、人が自然と関わってきた「里山」をテーマに考える「里山キャンパス」について紹介しました。日本の里山は、世界で広がっている「パーマカルチャー」の大もとだということも、ナバさんから説明されました。
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人と自然の関わりを考える「里山キャンパス」。
3人目は谷口ごろー先生からは、「関わることで、人が心地よくなることも大事」というメッセージ。
前職で都市公園管理に関わってきたごろーさん。都市の公園で出る剪定枝は、公園の外に持ち出され、産業廃棄物として処理されているとのこと。それを身近なところで処理できる「バイオネスト」をみんなでつくってみます。
ノコギリや剪定ばさみの簡単な道具で、そこにある枝を集めて組んでいきます。組めたら枝や落ち葉を詰めていきます。
20分もすると、あっという間に各チームでバイオネストが出来上がりました。
完成したバイオネストは、周りの自然と馴染んでいてよく見ないとわからないくらいです。
「こうしてできたバイオネストは、小動物の棲み家にもなります」
都市部やその周辺でも、ますます人と自然のつながりが求められています、
自然から出たものを自然に還し、訪れた人も心地よくしていく、環境教育手法を用いたアプローチを体験しました。
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最後に、ふりかえりです。
たった半日でしたが、内容盛りだくさんでみなさんは何を感じたでしょうか?
気づいたことは様々でしたが、森林環境教育で最も大事にしている「体験学習」について、その必要性を理解してくれたようです。
体験学習の「3つの”タ”」・・・
「体験から学ぶ」「互いに学ぶ」、そして「楽しく学ぶ」
翌日からは、その続きともいえる「アウトドアチームビルディング」が始まります。
みなさん、お疲れ様でした!
森林環境教育専攻 小林謙一(こばけん)