コミュニケーションワーク
どれだけテクノロジーが発展したとしても、我々人間が社会で生きていく上で、コミュニケーションは欠かせないでしょう。実際、私たち人間の悩みのほとんどは、人間関係やコミュニケーションに由来するものであるとも言われています。
卒業後、森を舞台に仕事をしていくアカデミーの学生たちにとってもそれは同じこと。
コミュニケーションは、人間である限り、避けたくても一生避けることのできないテーマです。
アカデミー改革以来、この授業を非常勤講師として担当し続けていただいている伊勢達郎さんを今年も講師にお招きしエンジニア科の1年生とクリエーター科の森林環境教育専攻1年生を対象に実習が行われました。
伊勢さんは徳島県の田んぼに囲まれた広大な敷地を舞台に、40年以上にわたり、カウンセリングマインドをベースとした自由なようちえんや自由な小学校を実践されてきている筋金入りの現場人(げんばびと)です。子どもたちだけでなく保護者向けのコミュニケーションワークや、カウンセリング講座、指導者育成なども積極的に展開され、今や全国から注目されています。
そんな特別な講師をお迎えしての、超贅沢な授業「コミュニケーションワーク」の様子を森林環境教育専攻1年生、ビトゥこと加藤大成くんが報告してくれたので紹介します。
(ここまでは、森林環境教育専攻なんちゃって先生 萩原ナバ裕作)
<ここから加藤くんの報告>
コミュニケーションについて私たちは日々何を考えるでもなく行なっているとても基本的な社会活動です。そして同時に多くの人の悩みでもあります。今回はそんなコミュニケーションについて2日かけて学びました。
1日目で私が最も興味深かったのは3人1組となり、外側の2人が挟まれている人が倒してくるのを受け止め、反対側に押し戻してあげるというものです。このワークでは中の人は兎に角倒れるだけで難しいことは考えず、外側2人が倒れてきた人を如何に受け止め、戻すかというところがポイントになっていました。浅い角度で受け止めてしまうと何も楽しくない。だからと言って無理な角度で受け止めようとすると自分が辛くなってしまう。
これはコミュニケーションでも同じなのだそうです。相手が自分にとって無理難題を持ってきた際自分が無理しない範囲で受け止めてあげる。決して無理はせずに「ここまでは受け止めてあげるよ」といったマインドで接するとお互い気持ちがいい。
実際私が倒れる役をやった際には変に深い角度でギリギリ受け止めてもらうよりもある程度に角度で余裕を持って受け止めてもらう方が肉体的にも精神的にも気分が良かったです。
2日目は主にどういったコミュニケーションの取り方をとると温かい気持ちになれるかを考えました。例えば「僕は森に行きたくない!」と子供に言われた時どのような言葉を投げかけるのがベターなのでしょう。実際に自分がどのような投げかけをするかを考えて短い台本を作り、ペアの子に自分の台詞を読んでもらってどのような気持ちになるのか考えました。
このワークを通じて自分が実は自分のことしか考えることが出来ていないのではということに今更ながらに気付くことができました。相手に寄り添おうとしているようでその実自分の苦労話や面白かった話といったようなコミュニケーションの取り方をしていました。
今回の授業で理想としたい温かみのあるコミュニケーションとは何かと実際の自分のコミュニケーションの冷たさを学びました。これから環境教育の現場へと足を踏み入れる人間として今自分が相手の気持ちを受け止めてあげられているか、受け止めたよと相手に伝わっているかという部分を意識しながら人と関わっていきたいなと感じました。
報告:加藤大成(ビトゥ)