環境教育プログラムの実行予算をつくってみよう!(ローカルビジネス1<マネジメントの基礎>)
森林環境教育専攻の選択科目、「ローカルビジネス1<マネジメントの基礎>」を実施しました。
クリエーター科である森林環境教育専攻の卒業生は、自然学校や森林、公園管理などのしごとに就くことが多いです。また、自身で事業を立ち上げる人もいます。
いずれにしても、事業やプロジェクトにマネジメント視点を持って携われる、プロデューサー、ディレクター人材になってほしいと私は願っています。
今年度から新設した「ローカルビジネス」では、講義室と現場を組み合わせながら、プロジェクトデザインをするための視点と捉え方を伝えています。
1日目(11/9): 実行予算を書く
<マネジメントの基礎>では、1年生が夏に体験した「もりもりキャンプ」を題材に、ビジネス視点で考察します。
クリエーター科に入学する人は、そのほとんどが社会人経験者なので、何をいまさら・・・という感があると思います。しかし、起業も視野に入れている人も多いので、「自分で事業をつくる・回す」というプロデューサー、ディレクター視点で、あらためてプロジェクトとは?を考えてもらいました。
事業やプロジェクトを回すには「実行予算が書ける」ことが必要。また、企画を立て、事業を受注するには「見積書を書ける」こともプロデューサー的視点では重要です。
また、「実行予算」を書くためには、工数見積ができないといけません。特にキャンプなどのサービス業。行政でいうソフト事業などは、予算の多くを人件費が占めます。不確定要が多いプロジェクトで、ディレクター的視点では、現場で起きること、そこに必要なものを正確に見積もれる技量も必要です。
なお、工数見積にはプロジェクト全体の実施スケジュールの作成もセットになります。
アカデミーのキャンプをもし自分が事業にするなら、どんな人が、どのくらい必要なのか。
何が必要か。係る経費は。実施に必要なもので、見落としている要素はないか・・・
準備期間も含めて、学生同士でキャンプをふりかえり、ディスカッションしながら考えていきます。
2日目(11/9): 見積書を書く
実行予算ができたら、次に見積書を作成します。
仮想クライアントを設定し、クライアント向けの見積書をつくってもらいました。
特に学生が苦労したのが「人件費」。自分たちは社会でいくら稼ぎたいのかで、人件費の単価が決まります。企業で事業を回す場合、当然その他の経費やプロジェクトメンバー以外の人件費もかかります。もちろん、会社の利益も。
実際に学生が作成した見積書は、なかなかの金額になりました。
では、実社会でこの金額を成立させるためには、どういうビジネスモデルが必要なのかを考える必要があります。そう、経営者って大変なんです・・・。
事業を自分で手がけている人には至極当たり前のことですが、
「仕事を起こす・閉める」
「自分の給料をつくる」
「他者のためのお金をつくる」
という意識を、特にクリエーター科卒業生には常にもっていてほしいと思っています。
また森林や教育に関わる事業には実現したい事業のために様々な助成金、補助金を申請することも多く、実行予算と見積書が書けることは、プロジェクトをマネジメントする上で必須条件となります。
実際は自分で事業をてがけないとなかなか理解できないと思いますが、これから経営やプロジェクトの立ち上げにチャレンジしてみたいという人が増えるといいな、と思います。
なお、今回の授業では取り上げていませんが、
「見積書を書いても、そのままでは受注できない」
というのも世の常です。受注に結びつけるためのシビアな実行と見積が必要なので、これはぜひ現場で実感してください。
最後は「私の経済学」を即興で発表してもらいました。
自分が気になるモノから、グローバル経済につなげてを10分間語る、というものです。
発表者の内容を、別の学生がグラフィックレコーディング(グラレコ)することにもチャレンジしました。
柿から織物、クワガタまで。様々なネタで話が展開し、その横では素晴らしいグラレコも描かれていました。
多様な学生が集まるアカデミー。学生の多様な視点や経験は、全員にとってとても勉強になります。「私の経済学」、授業以外でもやりたくなりました!
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ローカルビジネスは、「2<リサーチとアイデア>」、「3<現場から学ぶ>」と続きます。
森林環境教育専攻 准教授 小林(こばけん)