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2025年02月06日(木)

みんなが自分らしくあれる場所(ローカルビジネス)

<2025.1.22> クリエーター科・森林環境教育1年 石岡美優(かみゅ)です。
私は日々、日記を通して自分と対話をしたり、感情に寄り添うことを大切にしています。またアカデミーに入学して、「安心して自己開示できる場 共に学び、成長していける仲間の重要性」を学校生活の中で感じています。

現地視察が充実している「ローカルビジネス」。
その第2弾として、岐阜県岐阜市の「ヒトノネ」にお邪魔しました。

運営する(一社)ヒトノネさんは、発達凸凹、グレイゾーン、不登校など、様々な背景を持つ方々の支援や居場所づくりをされています。様々な方々への支援や場づくり、自己対話・他者対話について知りたいという想いを持って訪問させていただきました。

「ヒトノネ」外観(3階+屋上)

ちなみに、ヒトノネに集まるこどもたちは、昨年末にアカデミーで森の合宿を開催しています。その時の模様はこちら: https://www.forest.ac.jp/academy-archives/education1213/

そんな「ヒトノネ」は一体どんなところなのでしょうか?一緒に見ていきましょう。

入口前の案内版

ヒトノネさんは、「遊び、学び、探求する放課後」をテーマに、子どもたちの豊かな居場所づくりや、働く親がイキイキと生きる環境づくりを事業として手がける一般社団法人です。

私たちが訪れた岐阜市の「今川教室/ヒトノネ本部」では、
 ・放課後等デイサービスみちな
 ・探究型学童保育ヒトノネ
 ・Imaru(あいまる)個別指導塾
 ・中高生のための居場所「クリエーターズ・クラブ」
の4つの事業が行われています。

案内人は、代表の篠田花子(しのだ・はなこ)さん。
私たちを温かく出迎えてくださり、施設を丁寧に案内していただきました。

 


 

まずは1階の「放課後等デイサービスみちな」。
障がい児・者を対象にした学習支援や、ソーシャルスキルトレーニングが行われています。
障がいのある子どもたちのための細やかな配慮が印象に残りました。特に、情報を文字だけで伝えるのではない視覚支援にも注力されているそうです。

文字だけではなく、イラストも用いた項目

子どもが親しみを持ちやすいイラストを用いた注意書き

線で区切ることによって自分のスペースを明確に

色を用いてわかりやすいようにしたお部屋

例えば、2つある部屋は色で分けられていました。
写真の右側にある「きみどりのへや」は、感情が高ぶってしまったりパニックになった際のクールダウンのための役割を担っているそうです。クールダウンの部屋があると思えるだけでも、安心と心強さを感じられるのではないかと思いました。

 


 

2階は「探究型学童保育ヒトノネ」。
一緒に遊び、学ぶ場で、教科横断的な学びとアクティブ・ラーニングを軸にした探究活動を行っています。また、市民講師を招いた体験型の学びもあるとのことでした。

関心を出発点とできる仕組みや、子供たちが創作したもので溢れる空間がすてきでした。

 

ここにある机は、設計士の方がデザインしたもので、材料をつくってみんなで組み立てたそうです。「つくる」という行為を大切にしているとのことで、他にも手づくりのものがたくさんありました。

 

 


 

3階(1部屋目)は「Imaru個別指導塾」です。
発達凸凹、学習に困り感のある子どものための学習塾で、個別での学習支援だけではなく、コーチング的な関わりも行われているとのことです。

3階にはもう一つ、「アトリエSISE」が。
中高生の居場所「クリエイターズ・クラブ」の活動が行われています。
10代の他年代の若者が訪れ、アートや音楽、プログラミング、ものづくりなど、思い思いに創作活動をしています。

ここに集まる小学生から高校生のみなさんが、昨年冬にアカデミーで森の合宿を実施しました。

 

ものづくりのための様々な道具も用意されています

 


「今川教室/ヒトノネ本部」を一通り見学させていたいた後は、篠田さんの事業に対する思いや目指していることを伺いました。

東京で働き、子育てをきっかけに岐阜に戻ってきた篠田さん。そこで感じたのは、東京にいた時と比べ、岐阜では子育て世代の女性が社会で活躍しにくいということだったそうです。

2018年、当事者として見えてきた課題から篠田さんの活動が始まります。
まず、子どもたちが多くの時間を過ごす放課後について考え、親が安心して子供を預けて働け、子供たちがありのままでいられる場所をつくりたいと、「ヒトノネ」を始められたということでした。

2021年に法人化されたのも、それが想いの実現のために必要であったから。
「経営者になりたいとは思っていなかった」と篠田さんは、語られていました。

そんな篠田さんのどんな時でも目の前の課題や同じような悩みを持たれる方々に向き合い続ける、そんな姿勢がとても素敵だと感じました。

今回、全体を通して感じたことは「素直に羨ましい」です。
「ヒトノネ」は、それだけ素敵な場所でした。

 

学校のような<教える、教わる>だけではない、
その子が感じたこと、特性を大切にし、
徹底的に寄り添ってくれる場所

やりたいと感じたことを本気で応援してくれ、
実践までの道筋を作ってくれたり、

興味や感じたことを共に大切にし、
丁寧に育んでくれる場所


従来の学校のように、成績で見るのではなく、
そこへ向かうまでの過程を大切に見てくれる。

みんなが自己実現や自己受容できる、そんな場所

 

環境教育が目指す、個性を尊重し、一人ひとりが創造性を発揮する社会の実現には、多様な人々が認め合い、育ち合う、インクルーシブな場づくりが求められています。
ヒトノネさんのような場所が。これからたくさん増えていってほしいと感じました。

すごく感動して、授業最後の感想を伝える際に泣いてしまったのですが、篠田さんは温かく聞いてくださいました。ありがとうございました。

誰よりも教員たちがはしゃぐ写真を添えて

<クリーエーター科・森林環境教育専攻1年 石岡美優>