「中高生のアート合宿」を試行実施しました
「森と人をつなぐ」を実践する人を育てる森林環境教育専攻ですが、学内では中学生・高校生にはあまりつながりが多くありません。
一方、「若者が多世代・多年代で学びあう場」をどうつくり出すかが、まちづくりにおいても現代のテーマとなってきているため、現代の中高生の考えや感性を知る機会を模索していました。
そんな折、「教育のまちづくり」で外部講師を努めていただいている(一社)ココラボの伊藤大貴さんからお声がけをいただきました。
伊藤さん、そして”中高生のための居場所づくり”に取り組む(一社)ヒトノネの篠田花子さんのご協力で、「クリエーターズ・クラブ」(岐阜市)に集う小学6年生から高校3年生、そして大学生、総勢11名を迎え、2024年11月30日から12月1日の2日間にわたり森の合宿を開催しました。
「クリエーターズ・クラブ」では若者たちが日頃、ものづくりや音楽など、それぞれが創作活動をしています。今回の合宿は、その中の高校生が「もっとお互いのつながりを深めたい」という思いで企画したものです。
実施するには移動や食費など、費用がかかります。そこで若者活動を支援する企業の助成制度に応募、見事採択されました。
「森の中で焚き火を囲みながら、対話や創作活動をしてみたい」という若者たちの願いを受け、森林空間を活用する環境教育の研究の一貫として実施の運びとなりました。
初めてアカデミーに訪れるのはもちろん、合宿 ――― それも森の中で宿泊するのは初めてという若者がほとんどでした。それでも、森林を散策しながらインスピレーションを高めたり、なれない手道具で木材を切ったり、直火で料理に挑戦したりと、五感をフル回転して過ごしていきます。
若者たちが設定した合宿のテーマは「えん」。
「円・丸」をテーマに創作活動を、そして仲間同士の「縁」を深めたい、という若者たち。
合宿中、大人は基本的は見守りと最小限のサポートです。
みなさんコミュニケーションが苦手とのことでしたが、活動や共同作業を通してどんどん会話が生まれていました。焚き火を囲んでの対話の時間にはクリエーター科の学生も多数参加してくれて、大人との会話も夕方遅くまで弾んでいました。
普段は室内で作業をしているという若者たちでしたが、森に入り、自然への興味が高まっていました。
中には「日の出が見たい」と希望する若者たちも。
朝、起きられるの?・・・という心配をよそに、まだ闇に包まれた早朝には5人が集まり、早朝登山に出発。約1時間かけて登山し、無事に朝日を眺めてきました。
2日間にわたる創作活動では、森の中で見つけたものや、学内に落ちていた端材など、自然の素材と対話しながら思い思いの作品づくりを楽しんでいました。
こうしてあっというまの2日間が終了。作品は「クリエーターズ・クラブ」に戻ってから引き続き仕上げをします。こうして完成した作品は、1月末に岐阜市内で展示されるとのこと。そしてこの展示会は、今回参加した大学生のみなさんが企画して実施するものだそうです。
2月には、「活動支援金」を出してくれた企業への活動報告があり、若者たちが今回の合宿についてレポートをするそうです。そのためのプレゼン資料も作成するとのことで、どんなレポートになるか楽しみです。
今回、自分たちで企画し、予算まで取って活動する若者たちの行動力に驚かされました。まさに、これからの探究型学習のあり方です。
そして、<他年代の若者たちが集い、森を通して刺激を受ける中で、様々な人と交流しながら、創作活動を行う>という、森林空間利用のこれからの可能性について考えるきっかけになりました。
伊藤さん、篠田さん、この度は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
若者のみなさんの作品と活動報告を楽しみにしながら、森と若者がつながるための探究を続けていきます。
(森林環境教育専攻 小林)