自力建設2019Cobiki「建つ!」
10月18日。上棟式を執り行いました。
過去数年のブログを読み返すと、このような書き出しでスタートしていたので、本年もぜひそうしたいところですが、建て方での様々な出来事もお伝えしましょうとのお言葉をいただきましたので、包み隠さずお伝えしたいと思います。
上棟式前日の17日。この日から建て方は始まりました。
(8月に行なった仮組み。https://www.forest.ac.jp/academy-archives/jrk2019dg/)
実はこの時にも苦労したのが、墨出し。Cobikiは基礎と構造材の緊結をDボルトで行います。Dボルトを差し込む穴が基礎に開けられているのですが、その穴をつくるシース菅の直径は40mm。ボルトの太さが16mm。ボルト端部につけるダブルナットが24mm。つまり余裕は±8mmなんです。約44平米の基礎に開けられた16個の40mm の穴に24mmのものを挿し込まなくてはいけません。部材も基礎も完成していますが、本当に挿さるのか確認する意味でも、まずは墨出し。
ズレがあったんです。どう頑張っても挿さらないズレが。
我々にできることは一つ。ハツることだけです。急遽ハツリ機をご用意いただき、コンクリートをハツっていきます。ハツったのは計4箇所。普通の住宅と違い立ち上がり部が少ないため、正確な位置にシース菅をセットするのが難しかったのだと今では思います。
また今回はハツリ機の関係で深く掘る事ができず、ボルトを短くしなければならなくなりました。そのためコンクリートへの引っかかりを大きくするため、ダブルナットの間にワッシャーを噛ませる事で面積を広くしました。
他にも問題が…
立ち上がりの高さが足りないのです。これは事前にわかっていたことではあるんですが、この対応もしなくてはなりません。
建て方を行うための準備だけで午前中が終わりました。正確には14時過ぎから建て方を始めつつ、トラブルへの対応をしていました。
直立の柱は立たせておきながら
組み上げたラーメンを挿し込んで行きます。
小型移動式クレーンの技能講習を受けていてよかった…
仮組みでも組み始めたら早いものでしたが、今回も組み始めてからはスムーズに事が進み、架構は組み終わりました。とは言うものの、お昼休み以外の休憩は取れずに1日が終わりました。
建て方2日目。雨が心配されるなかでの作業です。
この日は2本の梁の間にスリットを入れていきます。このスリットは3本の部材で構成されるものなので、1本にするためまずは400本の釘打ちからスタートです。
学生は慣れない釘打ちで腕の疲労と戦いながらちまちまと打ち込んでいきますが、大工さんはテンポよく力強く打ち込んでいました。
組み上がったスリットは人力で持ち上げます。このときには3本が金物のおかげで1本になっているため持ち上げる事ができるのです。
5本のスリットをかけ終わる頃雨が降り出し、ブルーシートの下で母屋の取り付け作業を行いました。雨と時間の関係でこの日は野地板を一部張って作業終了です。
そしてついに上棟式です。
4隅の柱にお清めを行い、祝詞をあげ、
施主の久津輪先生、ご指導いただいた田口さん、鈴木さんからもお言葉をいただきました。
多くの方にお集まりいただき、とても嬉しく思います。
上棟式が終わったら直会です
今回は直会の準備を2年生がしてくださいました。
豚汁にちらし寿司、差し入れでカレーもいただきみなさんお腹いっぱいになったことと思います。
食事をしつつ、これまでの自力建設の歩みを写真と棟梁のフリートークで振り返りました。
そして去年の棟梁の牧原さんの悪だくm…もとい提案で餅まきならぬ菓子まきも行いました。
さて、ついに上棟することができました。
作業をする度に思うのですが、やはり職人さんの技術がなければ家は建てられないということです。今回私たちはご指導をいただきながら作業をしていますが、やはり素人。どうしてもミスや間違いが起こってしまいます。職人さんならこのようなことにならないんだろうなと思いつつ、職人さんにミスを挽回する知恵をいただき、なんとか上棟を迎える事ができました。
多くの方のお力添えをいただきながらここまで来れました。
そして天気の関係で上棟式から1週間後。残っていた野地板を張ります。
野地板の準備をしている間に軒先の切断から。
そして野地板を張っていきます。
今回の野地板はアカデミー謹製のACパネルと、バラ材を使いました。
数量をギリギリにしていたため、あれやこれや工夫をしながら緊結をしていきました。
そして結局若干足りず。下の写真の左上の若干色の違うところが足りなかった部分です。
野地板を張り終わったらアスファルトルーフィングです。
叩く方式のタッカーを使いながら留めていき、完成。
母屋と野地板を黒く塗装したおかげで、狙い通り架構が目立ちます。残す作業は全体の2割ほどでしょうか。
最後まで安全に気をつけながら作業をしてまいります!
木造建築専攻1年 太目