地域見学実習初日:加子母森林組合と梅田製材,山守資料館
エンジニア科1年生の地域見学実習で中津川市加子母に行ってきました。この実習は,本学の連携先の中津川市との連携授業で,地元のNPOかしもむらの伊藤さんにコーディネートしてもらっています。泊りがけで東濃の林業や木材産業,自然を見学するとても楽しい実習です。少し遠いため朝は早く,7時にアカデミーを出発しました。
まず,加子母森林組合の細川組合長から,加子母の林業や木曽ヒノキの特徴,加子母森林組合の仕事についてお話を聞きました。加子母森林組合にはこの春から2名の卒業生が働いており,地元の猟友会でも活動しているという話を聞かせてもらいました。また,細川組合長は岐阜農林OBとのことで,エンジニア科の岐阜農林卒業生と話がはずんでいました。
次に,バスで移動して,加子母森林組合が間伐をしている現場を見学させてもらいました。加子母ではヒノキの複層林施業をしています。間伐や択伐後に空いた場所にヒノキ苗を植栽して育てているそうです。伐採の際も下層木を傷つけないように,伐倒方向に気を付けながら丁寧に作業されていました。
昼食後「じゃんじゃん」という簡易架線を見学させてもらいました。昔,カヤを束ねたものを運搬するのに使われていたそうです。番線に簡単な滑車をかけ,それに荷をつるして重力で滑走させるシステムです。じゃんじゃんの鳥居は腐りを避けるためにクリを使用していたとのことです。
学生さんがかついでいるのは木馬(きんま)です。木馬は木材を積んで山から下ろしてくるための道具です。夜のうちにこのようにかついで山に上げ,朝露で滑らせながら木材を下ろしてきたそうです。カシでできており,とても丈夫です。このように大きく重いものをかついで山に登るのはさぞかし大変な作業だったことでしょう。
加子母森林組合の木材市場を見学させてもらいました。競りの入札の仕方や,最近の木材価格の動向,売れ筋の材について細川組合長からお話を聞きました。
次に,梅田製材を見学させてもらいました。案内していただいた梅田社長は本学の前身,岐阜林業短期大学の出身です。梅田製材では,他の製材所ではあまり扱っていないヒノキの4 m材を主に扱っているそうです。主な販売先は関東や名古屋とのことでした。隣接する梅田社長のご自宅は,なんと140年前に建てられたものだそうです。当時はヒノキはあまり使わずに,クリやスギ材をつかって建てたと教えてもらいました。梅田社長は梅田製材の4代目とのこと。製材所やご自宅のお話から,歴史を感じ取ることができました。
本日の最後に,山守資料館に行きました。ここは,山守の子孫である内木さんが代々管理されている古民家です。酒造されている資料を用いて過去の森林利用についての研究をされている太田尚宏先生から,大正時代の伐り出した木材の運搬の様子や,江戸時代の森林管理についてのお話をお聞きしました。いずれも今の時代では想像もできないやり方でとても興味深く勉強になりました。
教員:玉木