「冒険の森inいとしろ」で森林空間利用の新しい可能性を体感
エンジニア科の「山村資源利用演習」とクリエーター科の「森林空間利用プログラムと事業化」の2科目合同実習で、郡上市白鳥町にある「冒険の森inいとしろ」へ行きました。
ここは石徹白集落の財産区の森ですが、20年以上前に補助金を入れて散策路や休憩小屋を整備しました。でも残念なが活発に利用されているとは言えない状態でした。こんな事例、全国にありますね。この隣接地で5年前から森林管理を行ってきた㈱大原林産の小森社長が、この森林空間を利用した事業を模索していたところ、奈良県山添村で「冒険の森事業」を経営する会社に出会いました。
「冒険の森」とは、使われなくなった森林を活用した自然共生型アウトドアパークです。森へ人を呼び、収益を上げ、収益の一部を森林整備の財源とする、森林再生を目的としたビジネスモデルを目指しています。
立木を伐採せず痛めもしないこのアクティビティの装置はフランスで開発され、施工管理もフランス人チームが行います。石徹白の場合は、既に森林整備がされ付帯設備も整っていたこと、大原林産という森林施業のノウハウを有する企業と組んだことで、初期投資が抑えられ、事業合意から1年余で施設オープンというスピードが実現しました。
こうした事業経過と、林業再生に賭ける思い「山村総合企業を目指して」を大原林産社長(㈱冒険の森取締役)の小森胤樹様から伺うことができました。この施設が開業したことで、石徹白集落のスキー場にとっても夏場のスタッフ雇用が可能になりました。2016年6月には「いとしろアウトドアフェスティバル」というイベントも創設され、大きな注目を集めました。
午後はお楽しみの「冒険の森」アドベンチャーコースの体験です。コース体験料は3,000円(+消費税)。ハーネスを装着し、安全装置の使い方説明を聞いた後、最初に練習コースで全員が正しい使い方を覚えます。樹上コースは地表から6メートル~高い所では12メートルの高さにあるので、安全確保は最優先です。でも信頼性の高い用具とシンプルな操作手順で、子どもでも安心して樹上の世界で遊ぶことができます。
さあ、いよいよ出発です!20才のエンジニア科チームから、40~50代を含むクリエーター科チームまで、悪戦苦闘しながらそれぞれのペースで楽しんでいます。アクティビティは後半に行くにつれて難易度を増しますが、みんなの顔がどんどん輝いて開放的な表情になっていくのが分かります。
2時間余りのコースを全員が終えて、「楽しい!」、「また来たい」、「今度はセグウェイに乗りたい!」という声が次々に(実はセグウェイに乗って森を散策するコースもあるのです)。
年齢や体力に関係なく素直に「楽しい!」と感じられるプログラムが、森と人をつなぐ活動を広げるためには大事ですね。それが事業として林業家や山村集落へ継続的に利益や雇用をもたらす仕組みが生まれたことに新しい可能性を感じました。
担当教員 嵯峨創平(揖斐川駐在)