オープンカレッジ「ハチの家をつくろう」第2回目実施しました
教員の津田です。7/15-16にオープンカレッジ「ハチの家をつくろう」の第2回目の講座を開催しましたので報告します。講座名は「ハチの家をつくろう」となっていますが、今回は身近な野生の生き物である昆虫について、より深く様々な視点から知っていただくため、夜間の昆虫観察とチョウの鱗粉転写を行いました。
一日目(7/15)は夜間の観察から。夕方からの開催なので集まった人から食事をとっていただき、その後観察準備に入ります。この日のプログラムは灯火採集と夜の森林の観察。まずは参加者の方と灯火採集の準備を行います。ポールを立てて、白い布を張って、水銀灯で照らします。さあ、どんな虫が集まるでしょうか?
ぼちぼち虫が集まり始めると、皆で調べてみます。コガネムシの仲間、ガの仲間、ヨコバイ、セミ、カメムシの仲間等、様々な虫が集まって来ていました。
この日はちょっと月が明るい夜で虫の集まりもいまいちでしたが、それでも子供達は興味津々。家の網戸に集まった虫を中から眺めていた幼少の頃、そんな思い出がよぎった大人の方もいたのではないでしょうか。こういった昆虫に気を留めて見たことがない人も多かったようで、似たようなものでも種類が違うことや、こんなに様々な昆虫がいるということに驚かれていました。
しかし「以前に比べると昆虫が少ないね」という声がスタッフから洩れます。私も予想より虫の集まりが悪い印象を持ちました。「どうして?」「農薬を使うから?」。様々な言葉が聞こえます。いろいろと想像はできますが、原因をしぼりこむことは容易ではありません。月齢や気温、湿度など、その日特有の要因も考えられます。実際に昆虫が減っているかどうかについては継続的な調査が必要ですが、私たちの暮らしと自然環境が密接に関わっているのでは?と考えるきっかけにはなったようです。
灯火採集の合間に、学生スタッフの案内で夜の森林観察にもいきました。主に樹液に来ている昆虫を見て回ります。夜の森、というだけで子供達はわくわく、どきどきだったようです。参加者の方は昆虫好きが多いようですが、意外と夜の観察はこれまでしたことがない人も多かったようで、大人も子供も楽しんでもらえたようです。
そんなこんなで1日目は夜の9時過ぎに解散。
2日目(7/16)はチョウの鱗粉転写です。鱗粉転写とはチョウの翅の上の鱗粉を糊を塗った紙に写し取ることです。まずはチョウの翅のつくりについて、共催団体の岐阜•美濃生態系研究会のスタッフの方から教えてもらいます。チョウの翅には種によって異なる模様があるがそれは鱗粉が透明な翅についていることでできていること、カラスアゲハ等の輝くような青色の光沢はプリズムによって見えているので、鱗粉転写をすると真っ黒になることなどを教わります(アオスジアゲハの青い筋は鱗粉ではなく翅の膜に色がついているため、鱗粉転写では色が写らず白抜けとなることも教えてもらいました。参加者からはへえ~多数)。
つぎに実際の作業の手順を教えてもらいます。皆息をつめて見守りました。
それでは参加者の人もそれぞれで行います。自分のチョウの標本を受け取ったら、あとはそれぞれでがんばります。
ちゃんと保管すれば何十年も色も変わらずおいておけるそうです。皆、大切に持ち帰っていました。
今回の講座では、身近な虫達について、様々な視点から見てもらい、あらためて身の回りの自然について考えてもらうことを目的としていました。夜の昆虫観察ではさまざまな昆虫、多くの昆虫が身近に棲んでいることを感じ、鱗粉転写ではひとつの昆虫についてじっくりと見ることによって新たな発見がありました。次回はまたハチの家をメインとした講座になります。初回に設置した竹筒の観察、家庭用BeeHouseの作成等を予定しています。